全周性の食道表在癌の治療も
大きく変わって参りました
10年前は内視鏡治療をやるという先生は皆無
で転移のない全周性食道表在がん、推定深達度m1-2
の場合、「非開胸食道抜去術」
といって、胸をひらかずにおなかと首を開いて食道を
それこそ引っこ抜いて、胃を頸までつなげる
という手術が行われて、今ももちろんやってる施設が
多いです。
あるいは、抗がん剤と放射線をあてる、という治療
いずれもがんを治す力が強力で、まず癌の再発は
考えにくい、
しかしその後の生活の質はやはり、低下します。
放射線後の後遺症も10年20年と過ごすにつれて
胸に水がたまったり、心臓のまわりに水がたまったり
不整脈、突然死、食道が硬くなって狭くなる、など
いろいろと出てまいります
5年前。 ESDで全周切除し、何度も拡張に
通っていただくという治療がちらほら出てきまして
ケン三郎はこの全周切除に抵抗があって
EMRで分割で切除して浅いところはAPCで
やいてコントロールするという治療をやっとりました。
結構、この方法でも局所制御ができますが、
狭窄が来る人もやっぱりいて、
粘膜欠損、高度狭窄をどうしたらいいか、が
内視鏡医にとっての大きな問題でありました。
拡張の時期や、狭くなった部分をITナイフを使って
拡げる治療、細胞シートに脂肪注入
ESDで全部とる、そして取った後をどうにか
うまく狭くならないように対応する
ESDの技術の向上+狭窄の治療
つまりは内視鏡治療だけで治す試みが盛んに研究され
2年前、どうもステロイドの内服と
ケナコルトの局注がどうもよさそうだ
ということがわかり、全周でも、内視鏡切除しても
何とかなりそうだな、、、という状況になっております。
(ただしかなり慣れた施設の話です)
内視鏡治療でとったけど、結局深くて
追加治療が必要でした、、やっぱり手術が必要でした、放射線を
しましょう
ある程度その見込みが立つように、深さがどれくらいか?
を突き詰める必要があります。
↓ この方は、手術できれば回避したい、
肛門側では一部全周になってまして。
あえて一部を残して帰ってきた方です。
ケナコルト局注して幸いそう狭窄はきませんでした。
病理結果も m2、脈管侵襲なし
との結果でしたので
そのまま内視鏡治療を継続。
もしここでm3より深い、脈管陽性なら
内視鏡だけでは治らないと判断
内視鏡治療の継続せずに
転移のことを考慮し
手術もしくはCRTを薦める
拒否する患者さんには
転移のリスクを重々話して
内視鏡治療を継続
狭窄があまりこない、という状況において
計画的に遺残させた部分をEMRC法で2分割で切除しまして。
その病理もともにm1.
2回に治療をわけて3分割。
そして内視鏡的拡張術を一度も行わずに局所制御できたのです。
「手術しなくて放射線も抗がん剤も
頻回の拡張術もしなくてよかったなんて」
昔だったら考えられないような方針ですが、
食道がんの診断、治療は日々進化しております。
内視鏡治療の果たす役割はかなり
大きいし
早く見つけて、早く治療するに
こしたことはない
お酒飲むなら、咽頭食道をいたわってください
そしてリスクの高い方は
自ら身を守るために内視鏡検査を!
ぽちっとな