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根治的化学放射線治療の適応

2012年の食道癌
診療ガイドラインにおいて

根知的化学放射線治療の適応は?

まず、内視鏡で治りそうな病気は
内視鏡治療をやりますが、

施設によっては内視鏡治療が弱く
放射線に強い施設

内視鏡が強いけど手術はあまり、、
という施設

逆に手術がものすごく有名だけど
内視鏡がいまいちな施設

施設によって得手不得手があり

また、患者さんが最初にどの科を受診したか
によっても、薦められる治療法が異なる
こともあります。

大きい施設ほど、専門家が集まって
一人の患者さんをどの治療がベストかを
話し合う機会をもつ、科を横断して相談
する「キャンザーボード」なる話し合いの
場を設けることもできますが

食道癌自体はそう頻度が多い疾患では
ないので、各科にスペシャリストが
そろっている、というのはかなり恵まれた
施設です。

さて、どういう場合に抗がん剤と放射線を
使うか?

ガイドラインには内視鏡治療の適応となる
早期癌(T1aN0M0)
と遠隔転移を有する症例をのぞく全ての
症例で適応となりうる

と書いてあります。

我々外科医は

①内視鏡でいけそう
②内視鏡でいけそうだけど
内視鏡だけでは不十分かもしれない
③最初から手術をすすめましょう
④進行しすぎて、手術の適応はない

とだいたいこの4つの群にまず振り分けます

放射線と抗がん剤をまず考えるのは④です

①はまず内視鏡治療が選択されます

②は内視鏡治療の結果、癌が深く浸潤していた
など「転移の可能性がありそう」と判断して
「追加治療で手術を希望しなかったが、
厳重に何もしないで様子を見るよりも
何らかの治療を希望した方」が対象です

この場合は放射線をどの範囲に当てるかが
問題でして、一番頻度の多い#106
2番目に頻度の多い#3
リンパ節転移診断がうんと精密なら
いいのですが、食道癌の転移は3つの領域
に広範囲におよぶことを考えると
当てる範囲の狭い治療でいいか、
しかし広いと余計な照射をするわけで、、、
まだ解決されていない問題です。

③の場合で手術は嫌だ、でもそれに代わる
強力な癌根治治療を受けたい方

が対象になります。

さてその治療効果ですが

国内での臨床試験の結果では
ステージⅠで4年生存率80.5%

T4(局所が進行してとりきれない進行癌)
をのぞく、ステージⅡ、Ⅲで5年生存率
36.8%

所属リンパ節以外のリンパ節転移を
有するT4症例では3年生存率20%
前後


ガイドラインには

「内視鏡治療の適応となる
早期癌(T1aN0M0)
と遠隔転移を有する症例をのぞき
非外科的治療を希望する全身状態が
よい患者さんには根知的同時併用
化学放射線治療を強く勧める」


手術したくない人には
放射線と抗がん剤を勧めましょう

これで食道癌が治ってくれて、
副作用がすくなければベストですが、、、

ぽちっとな
by kenzaburou41 | 2012-08-13 00:56 | 食道癌診断治療ガイドライン | Comments(2)
Commented by ゆっこ at 2012-08-13 12:52 x
前の記事からの続きになりますが、母も肺炎になりました。
その後も狭窄を繰り返し、本人も大変ですが私も大変です。
放射線治療後の手術は傷の治りの遅さに驚いています。
まだ胸の傷が治っていなくて、上皮を形成するのを助ける薬を塗っていますが、昨日も出血していました。
これでよかったのか?と後悔してしまいそうで、そんな自分が嫌になってきます。
信じて頑張るしかないとわかっているのです。
Commented by もりちー at 2012-08-13 21:39 x
先生、ブログ再開、おめでとうございます。
主人が1年前、手術して、ここにどれだけ救われた事か。
これからも、情報を、お願いします。
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