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抄録下書き

頭頸部表在癌の拾い上げにはNBIが有用であり,癌専門施設の多くで咽喉頭領域の観察にNBIが用いられている.しかしNBIがない状況で内視鏡を握る場合には表在癌は果たして見つけられないのだろうか?「マウスピースをくわえて口から内視鏡を挿入する」この一連の動作から見落しが始まっている.この領域を詳細に観察するためには,経鼻内視鏡と拡大内視鏡を目的に応じて使い分ける必要がある.経鼻内視鏡は咽頭反射が少なく時間をかけてじっくり咽喉頭領域を観察できる利点があり,口腔内観察,中咽頭反転法,Valsalva法などの工夫により,遠景から全体を見渡すのに優れており,経口内視鏡では通常観察してこなかった口腔底,頬粘膜,舌根部,下咽頭後壁~輪状後部の表在癌の拾い上げが可能である.一方で微小癌の詳細な近接観察に適するのが拡大内視鏡であり,NBI,BLIなどの画像強調内視鏡を併用し,Brownish areaと異型血管の出現により診断する.性能がいい分,視野は狭まることを知っておかなくてはならない.上皮内癌の肉眼的特徴として領域性のある発赤,周囲の正常血管透見の途絶,微細な小白苔の付着,周囲のメラノーシス等が挙げられ,近接時のドット状の異型血管を参考にする.上皮下に浸潤すると食道表在癌と異なり,隆起+平坦型を呈する事が多く,また色調も白色調と赤色調に分かれる.NBIに頼らず,通常光で左右差や領域性のある色調変化,凹凸をとらえるのが拾い上げのコツである.また患者の協力による動的な観察が非常に重要であり,安易に鎮静剤を投与してはならない.検査前の詳細な問診の聴取,検査法の説明など内視鏡挿入前から勝負が始まっている.何より見つけようという気合こそが重要である.
by kenzaburou41 | 2013-01-26 06:44 | 経鼻内視鏡 | Comments(0)
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