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クリニックでの気管食道科診療

気管食道科学会

食道外科医にとって、食事がとれない人に
食道がとれるようにする事

は一つのモチベーションであり

食道気管瘻で、水も呑めない方に
食道バイパス術を置いて、術後
食事がとれるようになったときの
患者さんの喜び

「水がこんなに美味しいなんて」

この笑顔が見られるだけでもやりがい
があるわけで。

しかし、嚥下障害、ひとえに食道癌だけが
その原因ではなく。

近年、超高齢化社会に突入し、嚥下障害例が
今後増えてくることは確実で、なんと75歳以上の
約3分の1が嚥下障害という報告もあるという。

「痰がつかえる」
「咳が出る」
など一見風邪にもみえる症状や
「薬の錠剤がつかえる」などで耳鼻科を
受診することがある。

内視鏡医もまた「食道以下を診ればいい」
という古い常識を捨て、咽喉頭に唾液が
溜まって観察がしにくい場合、特に高齢者に
関しては

「もしや、嚥下障害があるのでは?」
と疑ってかかる必要がある。

耳鼻科で行っている咽喉頭観察法のこつは
以下のとおり。

1)繊細な操作で嘔吐反射が起きないようにする
2)内視鏡の鼻からでている部分をまっすぐに
3)発声させて声帯の可動性と声門閉鎖不全のチェック
4)スニッフィングポジションをとり、左右に
頚部を回旋すると左右の梨状陥凹が展開できる
5)さらにmodified Killian(深くお辞儀をさせて
頬を膨らませると輪状後部と後壁の間が開ける
6)うまく行かない場合はのど仏自体を前方につかんで
前に引っ張る
7)着色水を嚥下させて喉頭に誤嚥していないかを観察する

ちなみにこれらは患者を椅子に座らせて医者が正面に
たった耳鼻科医の観察法である

もし,目の前に「咽喉頭異常感」「のどのつかえ感」
を訴える患者が来た場合、通常の内視鏡挿入
では観察不良部位がある。

咽喉頭の写真を1枚も撮らないのはもってのほか。

内視鏡医は、左側臥位、経鼻内視鏡を用いる
1)深くお辞儀をする
2)頸を前に倒したまま、下顎を前方に突き出す
3)あごの下に指をいれて前方に引っ張る(下顎牽引)
4)事前に患者に「大きく息を吸って一気にプーと頬を
膨らませてください、口はしっかり結んで空気が漏れない
ように」と練習させます
5)下咽頭の入り口に来たら,もう一度スニッフィング
ポジションを確認します。患者さんは必ず姿勢が
悪くなっていますので、一定の位置に戻しましょう
6)3秒で吸って7秒プーっと吐き続ける
ちなみにValsalva法とは、耳管開放手技のことをいうので
正確にはmodified Valsalvaというのが正しく、
またケン三郎の言ってるのはトランペット法だから
言葉は正確に使うようにと耳鼻科の先生に教えてもらった。

ちなみに嚥下障害のトリアージとして
耳鼻科での緊急性の高いものは
1)窒息
2)肺炎
3)腫瘍、神経疾患
だそうで、「腫瘍」ではなく「窒息」が最も
気を使うことだそう。そうか、だから
気管切開を躊躇無くやるのか、、

勉強になるのお〜

ぽちっとな
by kenzaburou41 | 2013-11-02 22:41 | 嚥下障害 | Comments(0)
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