カテゴリ:手術メモ( 13 )

反回神経周囲の郭清

反回神経の周囲、食道癌手術の肝。

食道がんがもっとも転移しやすいリンパ節106番

この周囲をきっちり郭清して、取ってくるのが
術後の患者さんの予後を決めると言っても過言ではない

開胸手術
鏡視下手術

きずが小さくで開胸と同じことができるなら
もちろん、きずが小さい方がありがたい訳で。

問題はそのリンパ節郭清。

神経から離れて取れば、
神経の周りに癌と取り残すどころか
出血もしやすいから

反回神経から離れるな。

神経にダイレクトにハサミを入れて切れば良い

出血なんか大したことはない

そう教わったのですが

今のご時世。

ハーモニックで神経周囲を切り進めて

脂肪がたっぷり反回神経の周りに付いてて

はいこれで郭清しました、っていうビデオが
消化器外科学会で出てくるところがなんとも。。。

「先生はファインに操作をするというなら、なぜハサミを使わないのか?」

ごもっともな意見です。

神経周囲はハサミですよ、名医なら。




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by kenzaburou41 | 2017-07-24 22:30 | 手術メモ | Comments(0)

ラパヘル

今月からヘルニアの手術に入るようになって

今日が3例目

これから高齢化社会。

食事がつかえる、でなやんでた食道癌の方が

手術で癌を克服して

治ったと思ったら、脱腸。

そういう方も増えるはず。

食道外科医は脱腸も手術しなきゃっ

ってんで、脱腸班

TAPPっていう、お腹のなかから脱腸を修復する手術。

前方アプローチから時代はラパロの時代へ

うまい先生の見学にはいり、みてみると、

ザックを剥がし、補強にいいところを露出し、メッシュをばちんとあて、
腹膜を縫う。


食道癌の手術にも通じるんですわ

鏡視下手術がうまくなるには、

まずはラパヘルからっつ。




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by kenzaburou41 | 2017-04-14 23:43 | 手術メモ | Comments(0)

左開胸手術とは?

食道癌の手術で「左開胸」という術式があります。

通常は食道、というと「右開胸」が原則ですが、
この左開胸は「気管分岐部以下の食道切除と108
リンパ節より下の食道の周りのリンパ節のお掃除」
を目的とします。

よってあまり、上の方に転移する頻度がすくない
食道胃接合部の癌や、食道浸潤のある胃癌が
良い適応になります。

食道屋さんは、左開胸というと,ガッパリ大きく
胸を開いてできるだけ視野を拡げて手術をすることに
抵抗があまりないのですが

胃が専門で、あまり胸部の手術になれていない
先生は胸を大きく開けるのを躊躇するそうで
「開胸しないでお腹から縦隔の方に
掘り進めるので充分」といいます。

左開胸でやる場合は第6肋間からへそ上まで
胸の傷とお腹の傷を連続させて切開します。

胸の傷は中腋か線までがっぱり。

この時肋骨は切るのですが横隔膜は
できるだけ温存して食道裂孔からトンネル
を作って食道を牽引しながら剥離を進めます

大動脈、心嚢、横隔膜の表面を露出させつつ、
食道と横隔膜上のリンパ節を含むすべての脂肪組織を
剥離

頭側は切る部分の2−3cm上までできるだけ剥離して
おいて食道を離断します

腹部操作は胃全摘もしくは噴切に準じて
おこなってあとは再建。


「あれ?俺の傷左にあるなあ」

という方は、どちらかというと胃に近い
所に癌があった方です

この術式も最初にやった人は
すごいな、と思います。

お腹と胸をがっつり開いて
大丈夫なんだろうか

大丈夫かどうか分からない
なかで手術した外科医,麻酔科医
メディカルスタッフ、そして患者さんの勇気。

無駄にしないよう
しっかり受け継ぐんですわ

ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2013-10-04 22:44 | 手術メモ | Comments(0)

右開胸開腹食道亜全摘胃管再建

食道癌の標準治療
右開胸開腹食道亜全摘

癌を一度に体外に取り出して
癌の根治を目指す治療

うまくいくポイント

必要最小限の開胸,開腹、頸部切開創で
充分な視野を作る

右肺をガーゼでくるみ、丁寧かつしっかりと
圧排する

まず温存すべき臓器を設定し、それを露出するように
食道の後壁、前壁と剥離,郭清を進める

食道左側の小範囲のみを尾根状に残し、剥離した領域
の中に、切除郭清すべき全てのものが入るようにする

頸部、腹部もまずは温存すべきものを早く同定し
これを露出するように郭清を進める

全操作を通じ、適切な層を視認し、カウンタートラクションを
しっかりかける

手術が難しいと言われる食道の手術といえども
基本手技の繰り返しである

気管、気管支、大動脈などの合併切除できない
臓器にまで浸潤している怖れのある進行食道癌には
その浸潤部位は郭清/剥離を一番最後に行う
のが一般的であり、そのため、術前評価が
極めて重要である

明らかに切除出来ない状況まで進んでしまっている
患者さんには手術以外の方法で提供出来る最善の
治療を巡らせて,相談しながら方針を決める

重要臓器損傷や大出血が常にいつでも起こる
ことを想定し、それぞれの対策法を事前に
考えておく、決して慌てずに対応する。


オヤジの格言ですわ

ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2013-07-31 23:30 | 手術メモ | Comments(1)

右頸部郭清

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消化器外科医といいながら

食道外科は頸・胸・腹の3つの領域の手術を
行います

頸のリンパ節郭清もまた食道外科医の
お仕事でありまして

手術の時に郭清しなかった、

あるいわ郭清したのにその近くからでてきた

と言う場合の再発のときも手術に携わります


ここで切除がきれいにできるかどうか
がのちのち、命に関わる事で

周囲には頸にむかう大きな太い動静脈が走っております

下の方には腕にむかう血管神経

さらには反回神経、迷走神経

だいじな血管、神経が密集しております


右の反回神経は気管にたいし斜めに入ってきますので
甲状腺の下極で、おそるおそる剥離をしてこまかい動脈の
下方に神経はでてきます。

神経の剥離は神経に平行に剥離すると,簡単に道がひらけますが
血管の剥離みたいに垂直に剥離すると神経を痛めることになります


神経に平行にを心がけて



ぽちっとな

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by kenzaburou41 | 2013-04-20 16:22 | 手術メモ | Comments(0)

食道背側の剥離



奇静脈弓の頭側では胸管の表面を覆う
うすい結合組織の膜レベルで一気に
食道背側の鈍的剥離を行う

胸管の合併切除を行うときには
横隔膜上で結紮離断し頭側に向かって
剥離するとともに左反回神経周囲の剥離を
終えた後に上縦隔で離断することが多い

腫瘍がT2までにとどまり胸管近傍に大きな
リンパ節転移がない場合は胸管を温存する

奇静脈より尾側では大動脈の外膜レベルで
食道、周囲結合組織を剥離する

この際1−3本の固有食道動脈をクリップないしは
ハーモニックスカルペルで閉鎖し離断する

奇静脈を離断し、静脈の背側にある右気管支動脈を剥離する
必要に応じて肋間動脈を切離して気管支動脈の
自由度を確保しておく


ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2013-01-04 23:02 | 手術メモ | Comments(0)

右開胸開腹食道亜全摘3領域リンパ節郭清術

開胸、開腹、頸部切開の皮切は最小限の大きさで
充分な視野を展開する

充分ば開胸の目安は開胸器による開大程度と
それに直交する方向の開大程度が同一となるときで
ある

徐々に開胸器を拡げつつ充分な開胸を行う

第5肋軟骨と第4肋軟骨は胸骨付着部から1−2cmの
位置で脱臼させる

下肺靭帯を尾側から下肺静脈下縁レベルまで
切離し右肺全体を大きな濡れガーゼでくるみ
肺臓鉤で左前方に圧排する

肺がうまくしぼまない時は麻酔科医に右気管支の
吸引をお願いする

縦隔胸膜と壁側胸膜の折り返しライン=
食道右背側で胸膜のみを切開する
十分なれるまでは直角鉗子で膜のみを
すくって電気メスで切るのがもっとも早く
出血しない

つづく


ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2013-01-03 20:14 | 手術メモ | Comments(0)

短時間で手術を終える

手術を終えて無事に退院できるまで

これを第一段階の「手術がうまくいったか?」

の指標で

「再発なく5年経過する事」

「再発してもすぐに見つけて適切な救済が
できること」

「肺炎や他臓器重複癌までケアして
生活の質をできるだけ維持する事」

そして「正月くらいは好きなお酒を
たくさん飲んで、家内安全を祝う事」

外科手術はこれらの患者さんの将来を
導く大事な分岐点。

長時間手術が患者さんに与える
ダメージは計り知れません

できるだけ短時間に

これまで経験して習得してきた
手術技術をぞんぶんに生かして
時間をかけなくてはならないところ
は安全に

時間をかけなくていい所は
最高度のスピードで進められるように

うちのボスがいつも口を酸っぱく
して部下に伝えている外科手術の基本。

来年もまた心に刻んでがんばろう

ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2012-12-31 08:52 | 手術メモ | Comments(0)

合併症軽減のための工夫

食道癌の手術が安全に行えるようになった
とはいえ、手術合併症で死亡することもあり

その最も頻度の多いのが呼吸器合併症で

近年、我が国ではこの術後合併症を減らすための
「温存治療」が行われている


「気管支動脈の温存」

=右気管支動脈は奇静脈弓背側にぴったり接して
走行するため、これを損傷しないように
注意して奇静脈弓を切離する

奇静脈弓の両端を持ち上げるようにして
背面を剥離していくと右気管支動脈を
確認できる

右気管支動脈は下行大動脈から起始したあと
第3肋間動脈を分岐し、走行を腹側に転じて
右気管支へ向かう

分岐した直後で第3肋間動脈を切離し、気管支動脈を
遊離しやすくする


「迷走神経肺枝」の温存

肺血管外水分量の調節や咳嗽反射に関与すると
考えられており、温存に努める

迷走神経本巻から右主気管支に向かって肺枝が分岐
するため、分岐後に迷走神経を切離してこれを温存する

切離した神経の断端を鉗子で把持し、これを
腹側手前に引き上げると郭清すべき気管分岐部のリンパ節が
出現する


こうした取り組みが本当に合併症を減らせるかについては
明らかな証拠がないが、
やってみる価値はありそう、と書いてある。


勉強勉強。


ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2012-12-18 18:17 | 手術メモ | Comments(1)

壁内血流

一夜あけて、胃管の色調を内視鏡で確認。

粘膜も血がかよった色をしていてホッと胸を
なでおろす

あんな高位でつないだのに
よくぞ届いたもんだ、、、と

感心する。

「胃管壊死」が起きるかどうか、
手術中に確実に調べる方法
が検討されていますが

問題は、どうやって胃管が腐らないように
血流を維持して胃管を作るか?

「咽頭と胃管吻合だから、細径胃管だろうか」

と思っていたんですが

細い胃管を造れば、距離的には届くけど
先端の血流は胃の壁内血流が途絶えるので
壊死する可能性が高い

胃の小わん線からLN1~3をきれい
に切り落とし

できるだけ胃の壁内血流を残した太目の
胃管にして後縦隔を通すと
咽頭まで届く

吻合口はあまり広くすると、
嚥下圧がかかりにくくなるため、
かえって少し狭いほうが圧がかかって
食べやすい



咽頭のほうが広く、胃管側はせまくして
端側で縫合する


食道癌手術をこなしてきた
指導者からの
貴重な言い伝えです。
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by kenzaburou41 | 2012-09-19 20:16 | 手術メモ | Comments(1)