カテゴリ:ステント( 6 )

肺がんによる食道狭窄

食道にものが通らなくなるのは
なにも食道癌だけでなく

他の病気が食道の周りに巣を作って
それで食道の通りが悪くなることがある

肺がんの縦隔リンパ節転移がその一つ。

リンパ節転移に対し、抗癌剤と放射線を使って
治療してすこし小さくなったと思いきや

またぶり返して食道を圧迫

癌が小さくなるだけじゃ意味がない

癌が0にならないといつか再発する

「食事がなかなか落ちていかない」
が食道癌が原因でない場合の治療選択

放射線の影響で食道が狭くなってないか。

しかし、もともと食道には何もなかった
わけで、そこに放射線あてて、全然食事が通らなくなるまで
狭くなることは稀。

これは食道がリンパ節で圧排されているためでしょう

その場合の治療は2通り。

ステントか食道バイパス術である。

もちろん、肺がんのリンパ節転移自体を切除
できるにこしたことはないが、
それが出来ないからコンサルト受けてるわけで。

しかし、食道癌への放射線+ステントは禁忌とされている。
高率で裂ける、出血するなどの偶発症が起きやすくなるからだ。

でも外から押されているのが原因だったら
そこを少し広げておくだけ、というステントはありかも。

一度にぐっと拡げて裂けるのは怖い、ゆえにまず
ESD後の狭窄でやるようにバルーン拡張をやってみる。

これで熱がでたり、出血するようだったらステントは選べない。

拡張で効果が得られない、何度かやったけど期待できそうにない
場合はステントを選ぶ。

その狭窄の長さにあったものを選ぶけど、
あまり拡がりすぎると怖いので、気管支用のステントを
代用するのも一つの手である。

ステント挿入後は、3日間連日でレントゲン側面像を取る。
正面からはわかりにくいこともあるから必ず側面を取る

それで3日たって位置が変わらず、ステントも拡がっていれば
もう大丈夫、食事開始だ。

食道バイパスも外科医としては捨てがたいけど
ステントですむならこれほど患者さんにとって楽な治療はない。

というわけで、治療戦略を練る時は
いろんな悪いことに思いを巡らし
こうなったらこうしよう、その予防策はこうしておこう

などの引き出しを持つことが重要。

ドラえもん的発想、想像力が大事っす。

ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2014-07-09 22:30 | ステント | Comments(0)

大動脈ステント 新しい使い方

食道癌に対し、化学放射線治療後に食道亜全摘
3領域リンパ節郭清 後縦隔胃管再建を行った。

6か月後に傍大動脈リンパ節再発

PETで他に転移なし

まあ普通はここで余命半年というところ。


「再発巣が切除可能かも、しかし大動脈浸潤を強く
疑ったために、まず大動脈ステントを置いて切除の方針に
なりました」

最近のステントは、より動脈への生着がいいものが
でており、Gore社のTAG(TGT2810)を
挿入しました。

これは根治術の1週間前にいれておけばよいとのこと。

腫大したリンパ節を切除、最後に大動脈壁を全層に
一塊にして切除しました

って普通は、大動脈に浸潤してたらアウトってとこ
なのに、、

全層切除時はすぐ下にステントグラフトがみえるので
グラフトを圧迫してスペースを作りながら切離。

大動脈壁を含むリンパ節を一塊にして切除できました。


ってことで。 そのような転移を生じる癌ですので
これで治るかどうかは別として
「切除できません」「血を吐いて突然死ぬかもしれません」
という恐怖からは救われる。

ステントの留置に関して抗血栓薬は要らない

消化管の手術をやるのでステントに感染が生じないか
=最近のは感染にも強い。

ステント挿入により椎骨動脈に血流がいかなくなって
神経が麻痺して歩けなくなる心配は?
=まったく問題ない、血圧を下げすぎないことがむしろ重要

とのこと。


いやあ~限界への挑戦 

日本の食道診療すげえっす

ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2014-07-04 21:29 | ステント | Comments(0)

大動脈ステント

食道には周囲に気管・気管支・肺・大動脈
といった重要臓器に囲まれ

症状があったのになかなか病院に来なかった
患者さんに多い、周辺臓器浸潤食道癌

その中でも、怖いのが大動脈浸潤食道癌で。

T4だから、根治切除は無理

だとして放射線あてると、底が抜けて食道に大きな潰瘍ができて
大動脈に穴が開く

空いたら、突然出血し吐血。

一回目の吐血は「突然死の予兆」
であることが多く

数時間後には大出血してショックになって
目の前の患者さんが見る見るうちに血圧が下がり脈は速くなって
だんだん脈がふれなくなって心臓が止まる。

患者さんはいつ穴が開くかわからない
恐怖とともに生きることとなり

食道癌患者のもっとも苦しい状況の一つ

だったけども。

最近は、放射線治療の前に、穴があくだろうなという
患者さんには前もって、大動脈ステントをいれてから
放射線治療を行う

あるいは、放射線治療の途中経過で内視鏡をやって

潰瘍を形成する白苔が、黄色~青色に変色し

う、、、これは数日で穴が開くぞ

と予測される場合に、大動脈ステントをいれて
出血に備える

ということが行われています。

がんが治る、とこまではなかなかいかないまでも

出血性ショックで命を落とすのを回避できる
可能性があり

最悪の事態を回避する治療方針が重要


ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2014-06-28 17:57 | ステント | Comments(0)

人工食道どうなった?

これまで、転移があるような進行した末期の食道がんに対しては、残念ながら外科的な切除手術はあまり有効ではないので、放射線治療や抗がん剤治療が行われてきました。

 外科以外の治療方法も有効な症例も多いのですが、時には、進行した食道がんの患者さんにおいては、食道が狭くなって、しばしば患者様が食物を飲み込めなくなってしまいますので、ステントの挿入術などが行われています。しかしながら、金属ステントでは、しばしば、食物の塊などがステントを塞いでしまい、患者様は唾液さえも飲み込むことができなくなるので、嘔吐が止まらず、救急外来を受診し、内視鏡の処置を受けなくてはならなくなるなどの症状の発生も、観測されます。また、不幸にして食道がんが進行すれば、食道内部を閉塞させることになるので、また食物が飲み込めなくなります。そこで食道がんで狭窄を起こした病変部に挿入し、食物を飲み込む機能を持ち、がんに対するハイパーサーミア治療の機能を持ち、内視鏡だけで挿入できる新しい人工臓器としてのステント開発を進め、特許申請に至りました。



という話を聞いたのが2010年くらいですが
その後、この人工食道は実用化に至ったのでしょうか?


☆ 食道癌の手術=死亡率が低くなったとはいえ、まだ
全国的には3%と高い、蠕動うんどううんぬんより
これをまず0に近づけることが先決。

☆ 胃をもちあげるのがもっとも簡単で安全
であることも分かっている

☆ まずは短時間で手術を終えることが重要なので、
手間のかかる手法は外科医が選択しにくい

☆ 再発時に問題が生じないか

☆ 狭窄を来した切除不能進行がんの治療として
一部の方にはものすごくケモラジが有効
ということが分かっており、まずは
これを選択することが一般的

☆ケモラジもできない方というのは、通常予後1ヶ月、よくて
3ヶ月の状況、その状況で人工ステントを入れる
だけの費用対効果があるか

☆ 食べられない場合の代用策として食道バイパス
手術があり、これは比較的安全な治療法で,
保検適応もある。

以上のことから
人工食道。

食道専門家には
「どうなんだろうね、あったとしても
使うかね」的位置づけですが

実際臨床応用は進んでるんでしょうか、、
興味しんしんっ

ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2014-05-28 00:25 | ステント | Comments(0)

ステント逸脱

「癌は放置にかぎる」

「医者に殺されないための◯◯」

と,現代治療に対する批判が身内から
語られるようになり

確かに食道癌の手術で亡くなる方もいるし

放射線の後遺症で亡くなる方もいる

抗がん剤の治療でも亡くなる方がいる

でも,皆が皆そうではなくて、
初診のときには
「もう手遅れでしょうか」

「はい手遅れです」
と心の中では思っていても
口には決して出さず

「いえいえ、治療法がないわけではない
ですし、粘り強くがんばりましょう」
と前むきな言葉をかけつづけ

こっちがこりゃ大変だ、、と思っていた
のに、あれよあれよと治療がきいて
4年、5年と月日を重ねている人もいる。

治療で亡くなったかたからすると、
「手術や抗がん剤や放射線はとんでもない」
と思うかもしれないけども

元気になったひとがたくさんいるので

「放置にかぎる」というのはいいすぎで。

しかし、いろんな余病を抱えて、
かつご高齢。
治療を受けられる体制に不備がある場合には

「ステント」治療が有用です。

ステントというのは、食道癌で食道が
細くなって食べにくくなった所を
筒を入れて拡げる、というもので

まさに、癌と供に生きる治療。

早い段階で入れておけば、
1年以上生きた、という報告も
時々あります。


ステントの問題点はステントで内腔が
広がって、うまく行き過ぎると,ステントが
おっこちてしまう

ということがありまして。

先日、そのステント逸脱の場に遭遇。

広がった食道の部分にオーバーチューブを
なんとか通して、胃の中のステントを
回収して事なきを得ましたが

広がるんだなあ,ステントって。

てことを実感したわけで。


個々の状況に応じて、予後を見極め
その中で最も個人にあう治療をお勧めする

これとこれとこれがあって
どうぞ選んで下さい

ではなく、僕らは治療のコンシェルジェ

こっちがよさそうですよ、といえるように。



ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2013-07-06 08:36 | ステント | Comments(1)

放射線治療後のステント

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切除不能進行食道癌の患者さん

切除不能というくらいなので、かなり
食道が狭く、全くものが食べられない
という方も少なくありません

こんなことならもっと早く病院を
受診すればよかったという方が
多く、また

家族の方も「早く病院に行った方が
いいのに」と促したにも関わらず
「病院に行くのが怖くて」
といって治療が遅れる患者さんも
いらっしゃいます

さてどうにかそれでも食事がしたい
ということで、治療を開始しますが

放射線療法の前にステントという食道を
拡げる筒を入れた方、もしくは食べられないから
早くなんとかしてほしいというご希望で
放射線の治療中にステントを入れた方、

こういう方では食道に穴があいたり、
命にかかわるような出血がおきやすい
ことが知られています。

放射線が効いた症例では時間がたって
狭窄が解除される可能性があること、
ひいては予後が良くなる可能性があること

ということで、「食べられないから
早くステントを入れる」のは避けた方が
いいとされています。

しかしながら、放射線をやっても奏功せず、図のように
高度狭窄が残ってしまった場合

あとからステントで拡げる、というときも要注意で
出血,孔が開く、食道の周りに炎症がひろがる
といった致死的な合併症がおきやすいので
「どーしても食べたい」という場合は
「入れた事で逆に死期を早めるかもしれないですよ」
ということを話しておく必要があります。

ケン三郎の経験では12人の放射線照射後の
ステントで6人(50%)に致命的な合併症が
起きて患者さんをなくしています。

もともと食道癌自体も進行していたので
ステントだけが悪い,というわけではありませんが

写真の患者さんは、試しに内視鏡ゆっくり風船
で拡げてみたら、食道に小穴があいて
熱がでたので、ステントを入れるのを止めて
バイパス手術を行いました。

バイパス手術のいい所は、余命あと3ヶ月
だとしても、もしかしたら
「食べられて,家で過ごせるかもしれない」
という生活の質を最後まで維持するために
外科医ができる、最大源の治療でもあります。

もちろん、全く合併症がないわけではありませんし
癌治療に疲れてヘトヘトになって
もう、治療はいいです、そっとしてほしい、、、
気持ちの上で食べる事に前向きになっていない
方には難しい治療です。


この写真の方は、肺にも肝臓にも
転移があったのですが、バイパス手術をして
2週間で退院し、そして残った時間を
自宅ですごされ、3ヶ月で亡くなりました。

でもとても満足されて最後を過ごされたそうです。

ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2012-08-24 22:42 | ステント | Comments(2)