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温度板

いまでこそ手術で命を落とす人は少なくなりましたが
ここまで安全に手術ができるようになったのも

先人が苦労して苦労を重ねて、われわれがその手法を
学んできたことの積み重ね。

外科医は従来、骨関節を扱う整形外科医が主流
だったのが、内蔵を扱う方向にむかせたのが

ビルロート先生。

いまでもまだ胃がんの手術術式にその名が残るビルロート。

胃がんで亡くなった患者さんの解剖や
病理学的研究、手術の段取りを準備に準備を重ねて
1881年43歳の女性患者の胃がんを切除
し、成功をおさめたというもの。



外科医なら一度はウィーン大学付属医学博物館に
足を運んでみますと。

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その偉業をたたえるために、胃切除標本が
保存展示されています。



それだけでなく、喉頭がんへの喉頭摘出手術
の導入、、、へえっ。


有能な外科医をさらに育て


さらに一目で臨床経過がわかる

「温度板」を外科臨床に持ち込んだのもビルロート。

へえっ。。


電子カルテでスクロールしていって字が細かくて
見えない、今の温度板。

昔は、温度板に血液データや検査計画、抗生剤の
開始、中止、変更、そのほか臨床データを書き込む
のが研修医の仕事で。


一目みただけで患者さんの様子を理解できる
仕組みがあったのです。


それもビルロートが外科領域に
もちこんだなんて~



すげえっ。



ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2012-07-31 21:19 | ひとり言 | Comments(0)

死ぬまで酒を続けたい

こないだ、下咽頭癌で
内視鏡検査を受けた患者さん。

検査する前から、心拍数が180超えてて

ん? 普通じゃないな、、

と思ってたら案の定アルコール依存症
で。

西原理恵子さん曰く、
「アルコール依存症も立派な
病気で、癌と同じようにしっかり治さないと
体も精神もがボロボロになる」

きちんと治療を受けてください
と伝えたけど

「もう手遅れみたいだし、酒を
止めるくらいなら死んだ方がまし」

といい放って診察室を出て行きました。


治療が嫌だ、と言っても
何もしなければ、症状が悪化するばかり
だし、、

下咽頭癌の怖さは、進行すると
食事がとおらない、呼吸もしにくくなる

そう伝えたけども
「酒は止められない」と。


ケン三郎も、嫌な事があると
酒を飲みます。

今回のブログ消滅事件
はほんと、酒の量が増えましたemoticon-0130-devil.gif

もちろんいい時にも酒をのみます

同じような仲間と酒を飲んで仕事
の愚痴をこぼす

話す相手がいるから、嫌な事も
忘れられるし、前向きになれるんだ
と思います。


「せんせ、聞いてくれる?
俺が病気になって、両親も高齢なんだけど
どうしたらいいか途方に暮れてるんだよ
でも、先生には関係ないけどね」

話したかったんですね、
病気への不安を。

そんなに人間は強くありません。

医療には、いろんな不確実なことが
あって、すごくうまく行く事もあれば
想定しなかったことが起きて
うまくいかないこともあります


このブログを通して
みなさんの声を聞けるのは
勉強になります


酒に頼って病気が悪化するくらい
なら

このケン三郎に
話してくださいな。

亡くなったご主人、本当に
つらいですよね、無念ですよね、

たくさんたくさん話して
下さいな

そして皆が明日は笑って
いられるように。

ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2012-07-30 23:28 | がん患者学 | Comments(1)

手術前にやっておくべきこと

食道癌の手術後

なんらかの合併症が起きる確率は約50%
と言われており、その中でも頻度の多い
のが、呼吸器関連(主に肺炎、無気肺)

縫合不全

出血

乳び胸

さ声(声がかすれる)

胃管壊死

膿胸

敗血症

MRSA腸炎,肺炎、、

手術死亡率は2%前後と言われています。

最大限の注意を払って手術しても
残念ながら亡くなる方がいる

限りなく少なくするために
推奨される方法は?

ガイドラインでは

1)禁煙

2)呼吸訓練

3)口腔ケア(歯科にかかって歯垢歯石除去)

4)短い手術時間と少ない出血量

5)手術前30〜60分以内の抗菌薬投与

6)早期離床(早くからだを動かす)

7)痛みのサポート(積極的に痛みをとる)

8)血糖管理=血糖を90〜150程度に
抑える、しかし極端に血糖を抑えるのは
低血糖のリスクがあり、勧められない

9)炎症性サイトカインなどのコントロール
(周術期のステロイド投与、
好中球エラスターゼ阻害薬の投与)

この9つが推奨されています。

我々が、安全に確実に手術を
することはもちろん
術後管理、医師だけでなく
いろんな職種の方があなたを
サポートします

このうち患者さんのがんばりで改善が
できるもの
は1、2、3、6です

「食道癌と診断されました」

「手術が必要です」

といわれて、入院までの時間が大事です。


口腔内ケアのために歯科医を受診し
歯の噛み合わせなどもチェックしましょう

もっとも大事なのは禁煙です


これができないと、術後必ず苦労します

「あの時しっかりやっておけばよかった」
と後悔する前にしっかり禁煙しましょう。


ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2012-07-30 01:20 | 手術前にやっておくべきこと | Comments(2)

都会と地方

今日は外科同門会があって
肝臓外科の前教授が久しぶりに
会にでてみんなの前で話す機会があり

現在、地方の病院の院長になってて

現在の臨床研修制度が発足し
研修医が地方大学に残らなくて
都会の魅力ある症例も多い
所に集中してて,地方は
疲弊している、研修医がまず
病院に残らないから中堅の
医者を確保するのが大変で

何度も若い医者を派遣して
欲しいと近くの大学に頭を下げ
ている、、、

都会の大病院で仕事をしている
君たちは非常にうらやましい
いかに恵まれてるか

それに比べて、田舎で
ちゃんと仕事をしてても
今はいろんな情報を知る
機会があるので,いわゆる
名医の所に患者が集まる


せっかく手術の準備を進めていても
都会に患者さんが行ってしまう

と嘆いていらした。


地方で,手術の責任を背負って
マンパワーが少ないなか、
食道の手術をしている先生は
そうとう,頑張ってると思います。
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by kenzaburou41 | 2012-07-28 22:58 | ひとり言 | Comments(0)

Googleで「食道癌のブログ」をひく

Googleで「食道癌のブログ」を検索して

キャッシュというところを押すと、

おお、、、

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私の愛しきブログが
記録されている、、、


こんなところにおったんか、、

がんばったなあ、、、、

お前、あんな妨害をうけて、、

さぞ悔しかったろう、、



やしきたかじんさんも山田五郎さんも

桑田佳祐さんも小澤征爾さんも

中村勘三郎さんも

みんなお前のこと見に来てたんやで

毎日毎日かかさず記録して


ノーベル賞ものやで

泣いてばかりじゃいかんのや


お前のことはわすれないで

わし、これからがんばるからな。


ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2012-07-28 18:23 | Comments(1)

中村勘三郎さん

6月18日、初期の食道がんであることを公表し、年内いっぱいは治療に専念することを発表した歌舞伎俳優の中村勘三郎(57才)。

「勘三郎さんは6月上旬に入院したそうです。病室は1泊数万円のセレブな個室。一般病棟に比べて、ベッドも広い。おしゃれな絨毯も敷かれていて、癒しの雰囲気があって、治療には最適の場所です」(医療関係者)

 食道がん治療で思い出されるのが、サザンオールスターズ・桑田佳祐(56才)だ。2010年8月に手術を成功させ、その年の紅白歌合戦に出場、いまでは全国各地でライブを行うまでに回復している。

「実は勘三郎さんが入院している病院は、桑田さんが入院していた病院と同じなんです。しかも、担当医まで同じ先生だそうです」(前出・医療関係者)

 この医師はどんな人物なのか。

「40代半ばとまだ若いんですが、手術の経験が豊富な名医ですね。もともと、別の病院にいたんですが、才能を買われて引っ張られたんです。患者さんのことを第一に考えてくれる優しい先生としても評判です」(別の医療関係者)

 桑田の命を救ったゴッドハンドが、今度は勘三郎を救おうとしているのだ。





ちなみに「食道癌のブログ」を毎日かかさず
読んでいたのに、更新が打ち切られ、困惑しているという。。

なんちゃって。
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by kenzaburou41 | 2012-07-28 14:28 | ひとり言 | Comments(1)

食道癌手術の歴史

食道は消化器の中でも手術がすごく大変
な臓器で

食道外科の手術の歴史をひもとくと、

1861年のビルロートの頸部食道切除(犬の実験)
に始まり~

人では1877年Czernyによる頸部食道癌切除

1913年Torekらが胸部食道癌切除、この患者さんは
13年間生存したとのことで、

これが本格的な食道外科の幕開け

日本では瀬尾、大澤らが1932年に始まり

でも手術死亡がめちゃめちゃ多く、しばらくは
危険な手術という位置づけ。

1950年中山恒明先生が手術死亡5%(胸壁前再建)
という好成績を報告、

しかしこのころの手術死亡16%! 5年生存はわずか12%
と非常に成績はよくなくて

さらに欧米で同時期の手術死亡は25%と非常に高率であった。

手術は2回か3回にわけて行うのが普通で
一回でつなぐ、ということはなかったそうであります。



患者さんが手術でなくなる、というのが比較的頻繁に
あった、

だからこそ、食道外科医はなんとかしなきゃ、

術後管理もひとたび手術があれば、家に帰るなんて
とんでもない、3-4日泊まり込みはあたりまえで
患者さんの痰をとったり、特に呼吸管理が大変だったそうです。


つづく


ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2012-07-27 21:59 | 食道癌診断治療ガイドライン | Comments(4)

喉頭前方けん引法

食道の入り口をよく見たい場合

1)まずスニッフィングポジション

左側臥位で横になって
こぶしが一握りくらい入るように
頸を前に倒します

くびを前に倒したまま、今後は下顎を前につきだします

「アイーン」の体位です。 

経口内視鏡を入れる場合でも、この体位のほうが
スペースが広がってオエッとしにくいですから
ぜひやってみましょう

知らない先生には教えてあげましょう

2)次に前方けん引法ですが

下顎を前に突き出すと、のどのところに
カーブができるとおもいます。

このカーブの真ん中、

おそらく甲状軟骨と舌骨の間?に右手を入れて
ぐっとあごのほうに引っ張る、

うまくいえないのですが
押して引っ張る
イメージです。

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この時右手が離れるので、
経口内視鏡で入れた場合、
ストッパーのないマウスピース
だとスルスルぬけてきて観察がしにくいと思います

鼻からの場合も、サブちゃんのような鼻の孔がでかい
患者さんはスルスルぬけてきますが
たいていの方は、鼻で固定されているので
そう一気に抜けることは少ないです。


この2つだけでも、視野はだいぶひろがります。

あとはアップップですけど、「息こらえ」「うっと止める」
ではなく「息吐き続ける」「口を結ぶ」「頬に空気を充満させる」
イメージです。


今、経口内視鏡でもこの手法を取り入れている先生が
出てきて、「やっぱりここも見なきゃ」
というのが次第に浸透しております。

この3つを全部合わせて、コツをつかめば約8割上がります。

そうはいっても、なかなか上がんないよ、と思う先生、

ケン三郎は最初の半年は58%でしたが
最近の半年は78%です。

習得して損はない手技ですのでお試しください。
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by kenzaburou41 | 2012-07-27 16:10 | ELPSでのどを守る | Comments(0)

推奨グレード

「食道癌診断治療ガイドライン」
は食道癌の治療経験の豊富な先生方が、
経験の少ない先生にこうしたほうがいいですよ

という指針を打ち出したものです

グレードがA~Dまであって

A 強い科学的根拠があり、行うように強く勧められる
B 科学的根拠があり行うよう勧められる
C1 科学的根拠はないが行うよう勧められる
C2 科学的には根拠がなく、行わないよう勧められる
D 無効性、あるいは害があることが科学的に根拠があり
行わないように勧められる


簡単にいうとAが「それ常識やん」
Dが「え、そんなことやっちゃいかんよ」

医者はだいたい、このガイドラインに
沿って治療しますが

治療法は同じステージでも
患者さんによってもまちまち
なのが食道癌治療の特徴ですので

経験のある先生はいくつかの方法
でどれがベストか,ベターかを
計りにかけて方針をたてます

ケン三郎はこんなこといってるけど
そんなこと違うんじゃない?

ということが時々あるのも、
治療に多様性があるという
特徴を示しています。


ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2012-07-27 08:00 | 食道癌診断治療ガイドライン | Comments(0)

頸部食道癌の手術

頸部食道癌は、食道癌の中では頻度が少ない
のですが、内視鏡では食道に入ってすぐなので
入るときに見ないで通り過ぎる

抜く時もゆっくり抜かないと簡単に
見おとす所です

胃の観察が終わるとよく、内視鏡に
付いているサスリストさんが

「はいもうすぐ終わりですよ〜」

と声かけしますが

「いらん事言うな」な話で、
頸部食道を見る場合は胃から戻ってきて
じっくり観察する必要があります

一般的に早期発見が難しいので
進行癌で見つかることも多く

よってリンパ節転移もあって。
簡単に周囲臓器、とくに気管、甲状腺
などに浸潤しやすい

けれども転移している範囲は頸部にとどまっている
ことが多いので根治手術に回ることが多い

手術は口側が食道入口部にかからないものは
のどを残す手術が可能ですが、腫瘍が胸部食道に
伸展しているもの、下にもたくさん多発病変があるもの
などは頸,胸、腹までの食道を全部切除する

そうでなければ、頸部食道だけを切除し、
お腹から小腸の一部を持ってきて
それを栄養する動脈と静脈を近くを走っている
血管にそれぞれつなぎます。

ここで形成外科医が顕微鏡をつかって
うまーく血管を目にも見えない糸を
操って縫合しますと、腸に血流が
行き、消化管としてつながる、という
ことになります。


喉頭を残す手術と喉頭,咽頭、まで切除する
手術

なるべく機能は残したい、でも
癌をとりきならいわけにはいかない

ので喉頭を残せるかどうかの評価が必要
です。

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経鼻でValsalva法をつかって
口側にはがんが来てないぞ
ってことを良く見ておくと
参考になりますが

実際は手術のときに、「迅速病理診断」と
いって、口側のはじっこを顕微鏡でみてもらって
癌がいませんよ、と手術中に確認する
(ガイドライングレードB)、
すくなくとも粘膜面にいない事を確認する
のにヨード染色を行って、どこで切るのがよいか、
のどを残せるか?を判断します。


ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2012-07-27 07:49 | 食道癌診断治療ガイドライン | Comments(0)