後出血

食道がんの手術~気をつけること

手術中に起きることで命にかかわることというとまず出血が
第一に挙げられます。

食道がんの手術は、消化器外科の手術でもあり
胸部外科の手術でもあり、首も扱うし、腹もあける

大きな手術です

それだけ守備範囲が広いわけですので
さらに癌が進行しているとなると、出血も多くなりやすく

かつもともと余分な脂肪の多い方は手術もしにくく
出血量も多くなりがちです。


手術中に止血ができなくて、命を落とした、

という経験は僕はありませんが、

自分の手に負えなくなって、上司に止めてもらった
という経験は何度もあります。

「出た時にしっかり止められるか」もまた
外科医の大事なスキルで

問題が起きるのは、あるていど人間がやること
なので仕方がないのですが

起きた時に、最悪の事態=死

を回避するために、被害を最小限で食い止める
努力をしなければなりません


一人として同じケースというのは
ありませんから、常に出た時にどう対応するのが
いいか、を準備しておく必要があります。


無事手術中止血ができて帰ってきた。

しかし出血量が多いほど、術後の循環動態も
変動しやすく、

手術時間が長いほど、体の負担も大きくなります。

手術した当日、患者さんの家族に術中に様子を
説明し、とれたものを見ていただき、

「これくらいの病気でした、残念ながら
かなり転移があったので、再発する可能性が
高いと思います」

などの予測を聞き、

ご家族には面会していただいて帰ってもらうのですが

時々

そうたくさんあってはならないのですが

「後出血(こうしゅっけつ)」といって
手術が終わったときには止まっていた血が

また出始める、ということがあります。


体に患者さんはいろんな管をつけて帰ってきて
そこから血が垂れていると、ご家族の方は
初めて見たときに「血がでてる」とびっくりされます。


管は「たまったものを外にだす」役目と
「出血していないか、中の様子を知る」2つの役割があります。

術当日の役目は主にこの「中の様子をしる」目的です。

管から真っ赤な血がびゅんびゅんでて、タンクいっぱいになって
血圧もさがる、脈が早くなる

このときは輸血を用意しながら、止血のことを考えねばなりません

「再手術したほうがよいだろうか」
「いや、これくらなら待てそうだろう」

ご家族が帰った後も、我々はこまめに管の様子をチェックし、

「ああ、これなら安心だ」ということを確認して床につきます。


採血して、やっぱり出てる、となるとまた手術室に
もどって、麻酔をかけて、と再手術になります。


いざ開けてみると、ほんとに小さな血管からの
拍動性の出血で、「これが原因?、、うーん、、」

再手術は患者さんにとっても、医師にとっても
ダメージが大きいです。

昼も夜も、食道外科医、
がんばってます

ぽちっとな
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# by kenzaburou41 | 2012-08-13 23:38 | 手術メモ | Comments(0)

根治的化学放射線治療の適応

2012年の食道癌
診療ガイドラインにおいて

根知的化学放射線治療の適応は?

まず、内視鏡で治りそうな病気は
内視鏡治療をやりますが、

施設によっては内視鏡治療が弱く
放射線に強い施設

内視鏡が強いけど手術はあまり、、
という施設

逆に手術がものすごく有名だけど
内視鏡がいまいちな施設

施設によって得手不得手があり

また、患者さんが最初にどの科を受診したか
によっても、薦められる治療法が異なる
こともあります。

大きい施設ほど、専門家が集まって
一人の患者さんをどの治療がベストかを
話し合う機会をもつ、科を横断して相談
する「キャンザーボード」なる話し合いの
場を設けることもできますが

食道癌自体はそう頻度が多い疾患では
ないので、各科にスペシャリストが
そろっている、というのはかなり恵まれた
施設です。

さて、どういう場合に抗がん剤と放射線を
使うか?

ガイドラインには内視鏡治療の適応となる
早期癌(T1aN0M0)
と遠隔転移を有する症例をのぞく全ての
症例で適応となりうる

と書いてあります。

我々外科医は

①内視鏡でいけそう
②内視鏡でいけそうだけど
内視鏡だけでは不十分かもしれない
③最初から手術をすすめましょう
④進行しすぎて、手術の適応はない

とだいたいこの4つの群にまず振り分けます

放射線と抗がん剤をまず考えるのは④です

①はまず内視鏡治療が選択されます

②は内視鏡治療の結果、癌が深く浸潤していた
など「転移の可能性がありそう」と判断して
「追加治療で手術を希望しなかったが、
厳重に何もしないで様子を見るよりも
何らかの治療を希望した方」が対象です

この場合は放射線をどの範囲に当てるかが
問題でして、一番頻度の多い#106
2番目に頻度の多い#3
リンパ節転移診断がうんと精密なら
いいのですが、食道癌の転移は3つの領域
に広範囲におよぶことを考えると
当てる範囲の狭い治療でいいか、
しかし広いと余計な照射をするわけで、、、
まだ解決されていない問題です。

③の場合で手術は嫌だ、でもそれに代わる
強力な癌根治治療を受けたい方

が対象になります。

さてその治療効果ですが

国内での臨床試験の結果では
ステージⅠで4年生存率80.5%

T4(局所が進行してとりきれない進行癌)
をのぞく、ステージⅡ、Ⅲで5年生存率
36.8%

所属リンパ節以外のリンパ節転移を
有するT4症例では3年生存率20%
前後


ガイドラインには

「内視鏡治療の適応となる
早期癌(T1aN0M0)
と遠隔転移を有する症例をのぞき
非外科的治療を希望する全身状態が
よい患者さんには根知的同時併用
化学放射線治療を強く勧める」


手術したくない人には
放射線と抗がん剤を勧めましょう

これで食道癌が治ってくれて、
副作用がすくなければベストですが、、、

ぽちっとな
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# by kenzaburou41 | 2012-08-13 00:56 | 食道癌診断治療ガイドライン | Comments(2)

放射線治療の合併症

進行食道癌への2大強力治療が手術と放射線

それをさらに強力にする役割が抗がん剤です

食道癌の手術を受けることになった患者さん
が治療の合併症の話を聞くと大概の方は
「背筋が凍る思いがした」
「こんなに大きな手術とは思ってなかった」
「悪い所を取り出してつなげば,元の生活が
できると思っていた」
と、時に「これはとても乗り越えられない」
と手術を回避される方もでてきます。

手術を受けたくない患者さんの受け皿に
あるのが「放射線」と「抗がん剤」治療です

一般的に全身状態がいい患者さんには
放射線と抗がん剤を同時に行った方が
効果が高いとされるので、併用する
ことが多いです

しかし、放射線治療もまた
さまざまな合併症が生じます。

放射線治療中の3大合併症が
「皮膚炎」「食道炎」「肺炎」
で,食道炎に関してはほぼ必ず起きて
治療の終盤には「痛くて全然食事が
入らない」と食事をストップする
方も少なくありません

また抗がん剤を使う事で抵抗力が
弱まり、肺炎を起こせば頻度は
低いですが重症化する場合
もあります

放射線を当てて治療が終わってからも
後からさまざまな問題が生じるのが
放射線治療の特徴です

食道に穴があく=出血、気道との交通,肺とつながる
回復が難しい問題

頸に放射線が当たった場合は甲状腺機能低下

心臓に当たった場合は心外膜炎による
心のう液の貯留(心臓の周りに水がたまり
心臓が動きにくくなる=心タンポナーデ)

や収縮性心外膜炎、不整脈、突然死。

放射線性胸膜炎による胸水の貯留
で何度も入退院を繰り返すことがある

さらに極稀ですが脊椎炎。

5年、10年と食道癌が治った後に
問題が生じる可能性があります


現在はこれらの問題をなるだけ減らすよう
な工夫が各施設で行われていますが

放射線が効くかどうか、
癌が完全に0になるかどうか
はやってみなきゃ分からないところもあり。


「手術も大変けど
放射線も同じくらい大変」


と理解していたほうがいいと思います。

合併症は早く見つけて
早く対応するに尽きます

がんばりましょう


ぽちっとな
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# by kenzaburou41 | 2012-08-11 23:12 | 放射線治療 | Comments(1)

吻合部狭窄

ぽちっとな ←応援どーもです

手術後に気をつけることとして
「吻合部狭窄(ふんごうぶきょうさく」

があります。

手術直後、もう食べてもいいでしょうと
医師のお墨付きがでて、恐る恐る
時間をかけてゆっくり食べていた
時期

皆さん、慎重に一口一口を噛み締めながら
食べ始めたと思います。

しかし、しばらく食べて行くと
ちょうど鎖骨の当たりで詰まった
ようになって、それ以上食べてしまうと
吐いてしまう

これは胃袋が細い管になって
頸の方に引き上げられたために

「蓄える容量が減ってしまった」

にも関わらず、それを超える食べ物を
送り込んだ時に起こる容量オーバーです。

「食べているうちにだんだん入らなくなった」

時はこのケースです。食べ過ぎが原因ですので
時間を置いて食べる、あるいはゆっくり時間を
かけて食べる事が必要です。

入院中は大丈夫だったけどもしばらく
(術後2−3ヶ月)経過してから
起きる合併症が「吻合部狭窄」です。

これは、一部残った食道と胃のつなぎ目
が狭くなる現象です。

b0180148_20465696.jpg


もともと直径25mmの自動吻合器を使って
あるいは手縫いで食道と胃をつなぎ合わせますが
しばらくたって傷がなおる
にしたがい、このつなぎ目に膜状の肉があがって
来て、つなぎ目を塞いでしまう

(左のようにもともと白点線の◯の分くらい
あった管腔が、穴が小さくなって
真ん中の黒丸くらいになり、
食事が通らなくなる)

この場合はいくら頑張ってかんでゆっくり
食べても、一口目からつかえます

「食べてしばらくしてからつかえる」のか

「一口目からつかえる」のかで
たべすぎなのか、吻合部が狭いのか
区別がつきます。

こうした症状の場合は、主治医に連絡して
内視鏡で拡げてもらいましょう。

つまり易いのは
「肉(焼き鳥、焼き肉)」「刺身(イカ,タコ)」
「大きめの塊になる野菜=ナス、じゃがいも」
普段あまりかまないでペロッと飲み込むもの
は要注意です。


内視鏡で風船(バルーン)のようなもので拡げる、
あるいは通称「サバリー」と呼ぶ
棒状の拡張用具をつかって拡げます。

バルーンも細径内視鏡を通るものができれば
患者さんが楽なのに、、

と思いつつ、ケン三郎は
もっぱら、経口で細径でサバリーで拡張、
その直後の観察は経鼻ルートの順にしています。

b0180148_20472068.jpg


左が拡張後です、3時側に裂傷ができています
がこれくらいだったらまず問題ありません。

「拡げてもらって通りが良くなった」

と患者さんはおっしゃいますが
またしばらく経つと狭くなるので
何度か通ってもらう必要があります

最近はこれにケナコルトを打って
狭窄がこないようにトライしています


基本は「よくかんで、時間をかけてゆっくり
消化のいいものを」

ですが、吻合部狭窄は早めに医師に
相談しましょう

(できれば夜中に医師を呼ばなくて
すむよう、日中が好ましいです)
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# by kenzaburou41 | 2012-08-10 21:12 | 手術後のアフターケア | Comments(1)

術後ダンピング

食道癌の手術をして

リンパ節転移がたくさんあった、8個以上あった、
頸、胸、腹の3領域に転移があった
反回神経に浸潤していて神経も合併切除した


こういう場合はかなりの確率で癌が体内に残っている
可能性がたかく、

医者の中では「この方は抗がん剤を追加したほうがよさそう」
「きれいにとりれたか不安があるから放射線もやろう」

と次の作戦を考えますが、

患者さんにとっては、まず、手術後の大きくかわった体の
作りにとても慣れることができない、


というギャップとの戦いが始まります。


入院中は、だれしもが、食事をとるにも恐る恐る
でゆっくり一口飲みこむにも慎重にはじめますが

退院するころにバクバク手術前の元気だったころに
戻れる方はまずいらっしゃいません。



「食道をどれくらい切ったんでしょう、胃がどれくらい
残っていますか、胃がそのう血大きくなりますか?」


胃の大部分がのこっていても細い管になって
頸まで引き伸ばされるので、一度に食べられる量は
もとの半分と考えましょう

肝心なことは「早く元に戻そう」として
一度に早く食べ過ぎる方がいらっしゃいます。

術後1年くらいたったときが要注意。


「もう1年経ったし、そろそろたくさん食べても大丈夫だろう」


これで失敗する方が時々いらっしゃいます。



胃は永遠に大きくなりません。

一度にたくさん食べれば、容量オーバーでパンクします


頭と体が一致するまで3年はかかります。

できることは
出来るだけ早く、自分の一度に食べられる限界を知ること

そしてその限界を一生守ること

食べられるものと食べられないものを自分で
研究して自分の生活スタイルを築くこと


です。



胃に負担をかけない、胃をいたわる、

そういう意味で歯は重要です。


歯でよくかんで、胃に送り出す


あせらず。人と比べない。


そしてマイペースを貫く

まずはよく噛むことからはじめましょう
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# by kenzaburou41 | 2012-08-07 22:24 | 手術後のアフターケア | Comments(3)

 母 食道癌

以前「ダメーバブログ」で書いたネタですが

日本人の食道がんは「男性がかかりやすい」
「扁平上皮癌が多い」という特徴があり、

性差が男性85%、女性が15%の比率です。

圧倒的に男性がかかりやすく

大酒家、たばこ、お酒飲んですぐ赤くなる人、
最近では、お酒が翌朝まで残りやすい人
野菜嫌い、などもリスクとして挙げられています。


「父、食道癌」の場合ももちろん大変なんですが

「母、食道癌」の場合は、もっと大変。


手術、抗がん剤、放射線、いずれをえらぶにしても
進行食道癌の治療は、からだに大きな後遺症が
のこります。


退院してから、すぐは特に食事がなかなかうまいこと
入っていきません。

しばらくは経腸栄養(直接腸に栄養剤をいれて、栄養補充をする)
を併用しながら、食事を少しづつ食べるトレーニングを
していきます。


手術の前には簡単にできた日常生活が
術後、とくにいろいろ合併症があったりで
入院期間がながくなり、足腰も弱ると、ちょっと
トイレに立つだけでも、サポートが必要な
こともある。


食道癌は、医療も医者だけでなく、
いろんな専門職種の人がサポート
しますが、


家に帰っても、家族の支えが重要です。

そのサポート役の「母」が病気になった場合、
「父」は、いままで家のことなんかすべて
まかせっきりで、仕事に打ち込んできた、

という方も少なくないので

「父食道癌、母サポート」よりも
十分なサポートが難しいです。

同じように
「息子より娘」のほうが手厚いサポート
ができます。

娘は家にしょっちゅう帰ってくるけど
息子は寄り付かない、、、

ケン三郎もまた同じです。。。


家族が困難に陥った時にいかに助け合いが
できるか?


医療も、家に帰ってからのサポートが大事と
考えていて、近くの先生の往診や、訪問看護、
身近な人が手を差し伸べられる方法の整備
が重要と考えております。


かゆいところに手が届く医療~

医師だけでなく、みんなで治そう食道癌。
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# by kenzaburou41 | 2012-08-06 18:26 | がん患者学 | Comments(2)

進行をあらわす言葉

「食道癌」が見つかりました。

以前も今も「癌」という言葉に
ショックをうける患者さんはすくなくなく

医療人はそれに比べて、「癌」と日々戦っている
わけで、「あなたの病気は食道癌です」

という言葉も、日常的に使っている言葉です。


しかしながら「どれくらい進んでいるのか」

を示す言葉はいくつかあって

我々がつかっている言葉と、患者さんやご家族が
受け取る印象、ニュアンスが正確に伝わっているか?

というのは時々心配でして。


「大きい」「広い」「深い」

いずれも癌の大きさを示す言葉で
大きいほど、広いほど、深いほど
進行しています


食道はちくわのような筒状の臓器です


ちくわの内側から癌細胞が増殖すると
ちくわの肉のほうに、内から外へと
大きくなっていきます。


我々は、その壁を断面で切り取っていくと、
上から下のほうへ深く潜っていく

この深さの程度が深いほど、周りに転移しやすくなる
ことがわかっていますので

深さの度合いを示す言葉が必要になります。


これを「深達度」(しんたつど)と呼びます。


がんが進行しているかは、おもにこの深さのレベルが
筋肉の層まで到達してるかによって決まります。

大きいもの=深い

と考えてよいです


「どーなんですか、大きいんですか?」

「大きいです、内視鏡では切除できません」

という場合は筋肉の層まですでに癌が到達してる
ことを意味します。


しかしながら例外があって、深さは浅いけども
浅く広く広がっていくタイプの癌もあります


5cmを超えるものを
「表層拡大型食道癌」(ひょうそうかくだいがたしょくどうがん)
と呼んでいます


「どーなんですか、大きいんですか?」

「大きいといえば大きい、
大きいというより広いです」

なんのことかさっぱり?ではないでしょうか


浅く広く広がっていくので

大きいか小さいかでは大きい

広いか広くないかでは広い

でも深いかというと深くはない

よって、この病気は「広い病気です」
と言われた場合は、「内視鏡治療のチャンスがあるかもしれない」

と考えましょう



言葉のもつ意味は大きいと
つくづくかんじています。

正確につたえなくては。。。
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# by kenzaburou41 | 2012-08-05 22:14 | ひとり言 | Comments(0)

サルベージ手術の時期

切除不能進行食道癌の治療ですが

まず肺や肝臓,骨といった遠隔臓器に転移している
ステージⅣb期

この場合は「全身病」と考えるので治療の主体は
抗がん剤が中心で、大きな手術が適応になるのは
よっぽど治療がうまくいって、遠隔転移のコントロールが
ある程度ついている場合に限られます。

「切除不能」で周辺臓器に浸潤している場合。

一般的にリンパ節転移が8個以上ある
食道癌は治療成績が良くない
ということが分かっていますので

抗がん剤、放射線を駆使してある程度
癌を小さくする必要があります

ところがこの効果には
個人差があって

みんながみんな効くわけではありません

さらに1度小さくなっても
癌細胞が0にならない限りは
また必ずぶり返します。

放射線と抗がん剤で小さくなったけど
0にならなかった、残ってしまった
というときに、「癌を治す」治療を
サルベージ(救済)手術と言います。

通常の手術より、放射線があたった
あとの手術は危険度も高く、
合併症も高率に置き、さらによっぽど
安全に手術をしなければ命を落とすこと
もあります。

それだけ危険もある手術ですから
「やっただけの効果」が期待できなければ
手術を薦められません。

治療して効果はあったけれど、
どうも完全に切除はできなさそうだ

という場合はサルベージ手術の
適応にならない

手術しても、それに見合うだけ
長生きできなければ,
最低でも半年は生きられること
が推定される場合が手術の適応
です。

ですので
抗がん剤、放射線で今治療している
方が

癌が小さくなって、手術が出来る

という所まで全員がたどり着ける
わけではありません

放射線が終わって1ヶ月。

放射線終わった後の,独特の倦怠感
から回復し

さらにその時点で「癌がとりきれそう」
と判断した場合に,
外科医が「勝ち目がありそうですから、
手術しましょう」となります。

また、うんと効果があって癌が0になった
ように見えるという場合には

「もうすこし抗がん剤を続けてみましょう」

という作戦もありますので

まずは「治療効果がどれくらいあったか」

「手術ができそうか、意欲があるか」

「治療に前向きか」

いろんなことが総合的に判断されます。

「切除不能進行がん」の場合、
放射線が終わっても

実際は治療が始まったばかり

今後は、個々の状態で作戦も変わります。

よーく主治医の先生
と相談しながら、治療を
続けましょう



ぽちっとな
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# by kenzaburou41 | 2012-08-04 00:55 | サルベージ手術 | Comments(0)

Esophagus

食道学会の英文誌「Esophagus」
にインパクトファクターがついたんですわ

0.659

ですわ

こと食道がんに関しては
日本は世界でもフロントランナー

体操ニッポン、内村航平の金メダル級なんですわ


インパクトファクターをあげるべく、
どんどんケン三郎も↓ 雑誌Esophagusで

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英語論文を量産するんですわ~

ブログも休み休み、皆さんの質問に
答えられてないのでもーしわけないでござる~

ぽちっとな
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# by kenzaburou41 | 2012-08-03 19:48 | ひとり言 | Comments(0)

食道癌の特徴

食道癌には,他の消化器癌、胃癌や大腸がんに
みられない特徴があり

これは「比較的早い段階から転移が起きる」

ことと

「転移の分布が広範囲にわたる」
ということ。

転移とは、もともと癌が発生した場所から
飛び火をして周りのリンパ節や食道から遠い
場所にあたらしく巣を作る事をいいます。

粘膜筋板という、「筋肉の防波堤」
に癌の浸潤が到達すると、すでに10%
近くの転移が生じるといわれており

そのリンパ節転移の起きる場所

第1位

それは左右迷走神経という神経が脳から
下の方に伸びてくるんですが、こいつが
右は鎖骨下動脈,左は大動脈弓をくるり
と回って、また上に戻って行く

この神経を反回神経(はんかいしんけい)
と呼びます。

食道癌の転移はこの反回神経の周りに
もっとも高率におきます。

106番という番号がついています

その頻度=なんと3人に1人。

ついで第2位はなんと、お腹の胃の近くにある
リンパ節 3番リンパ節で4人に1人
といわれています。


リンパ節の番号ですが
場所によって番号が細かくわけられています

胃の周りが1〜20

食道の周りが100番台

大腸の周りが200番台でございます。

食道といえば「106」「3」が
転移しやすいリンパ節です

食道癌は、病気のすぐ近くのリンパ節
ではなく、遠くはなれた106や3に
まず起きる。

近くにまず転移して、
さらに遠くに転移する

というわけではないのです。

これが最大の特徴ですので

放射線をあてる場所を決める場合に
病気の近くだけを当てる

となると、癌がいるかもしれない場所に
放射線があたらない

しかし広く当てれば当てるほど、体の
負担は高度で、後遺症も大変、、、
ということになります。

手術はもちろん大変ですが
それと同じ範囲をカバーする放射線も
同じくらいきつい

と思っていた方が良いと思います。

ぽちっとな

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# by kenzaburou41 | 2012-08-02 23:04 | 手術と放射線どっちを選ぶ? | Comments(0)

全周性食道表在癌の治療

全周性の食道表在癌の治療も
大きく変わって参りました

10年前は内視鏡治療をやるという先生は皆無
で転移のない全周性食道表在がん、推定深達度m1-2

の場合、「非開胸食道抜去術」

といって、胸をひらかずにおなかと首を開いて食道を
それこそ引っこ抜いて、胃を頸までつなげる

という手術が行われて、今ももちろんやってる施設が
多いです。

あるいは、抗がん剤と放射線をあてる、という治療

いずれもがんを治す力が強力で、まず癌の再発は
考えにくい、

しかしその後の生活の質はやはり、低下します。

放射線後の後遺症も10年20年と過ごすにつれて
胸に水がたまったり、心臓のまわりに水がたまったり
不整脈、突然死、食道が硬くなって狭くなる、など
いろいろと出てまいります

5年前。 ESDで全周切除し、何度も拡張に
通っていただくという治療がちらほら出てきまして


ケン三郎はこの全周切除に抵抗があって 

EMRで分割で切除して浅いところはAPCで
やいてコントロールするという治療をやっとりました。

結構、この方法でも局所制御ができますが、
狭窄が来る人もやっぱりいて、

粘膜欠損、高度狭窄をどうしたらいいか、が
内視鏡医にとっての大きな問題でありました。

拡張の時期や、狭くなった部分をITナイフを使って
拡げる治療、細胞シートに脂肪注入

ESDで全部とる、そして取った後をどうにか
うまく狭くならないように対応する

ESDの技術の向上+狭窄の治療
つまりは内視鏡治療だけで治す試みが盛んに研究され

2年前、どうもステロイドの内服と
ケナコルトの局注がどうもよさそうだ

ということがわかり、全周でも、内視鏡切除しても
何とかなりそうだな、、、という状況になっております。
(ただしかなり慣れた施設の話です)

内視鏡治療でとったけど、結局深くて
追加治療が必要でした、、やっぱり手術が必要でした、放射線を
しましょう

ある程度その見込みが立つように、深さがどれくらいか?

を突き詰める必要があります。

↓ この方は、手術できれば回避したい、

肛門側では一部全周になってまして。


b0180148_19111761.jpg



あえて一部を残して帰ってきた方です。

ケナコルト局注して幸いそう狭窄はきませんでした。

病理結果も m2、脈管侵襲なし

との結果でしたので

そのまま内視鏡治療を継続。

もしここでm3より深い、脈管陽性なら
内視鏡だけでは治らないと判断

内視鏡治療の継続せずに
転移のことを考慮し
手術もしくはCRTを薦める

拒否する患者さんには
転移のリスクを重々話して
内視鏡治療を継続

b0180148_19112724.jpg


狭窄があまりこない、という状況において
計画的に遺残させた部分をEMRC法で2分割で切除しまして。

その病理もともにm1.

b0180148_19113691.jpg



2回に治療をわけて3分割。

そして内視鏡的拡張術を一度も行わずに局所制御できたのです。

「手術しなくて放射線も抗がん剤も
頻回の拡張術もしなくてよかったなんて」


昔だったら考えられないような方針ですが、


食道がんの診断、治療は日々進化しております。


内視鏡治療の果たす役割はかなり
大きいし


早く見つけて、早く治療するに
こしたことはない


お酒飲むなら、咽頭食道をいたわってください

そしてリスクの高い方は
自ら身を守るために内視鏡検査を!



ぽちっとな
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# by kenzaburou41 | 2012-08-01 19:44 | 内視鏡治療 | Comments(2)

温度板

いまでこそ手術で命を落とす人は少なくなりましたが
ここまで安全に手術ができるようになったのも

先人が苦労して苦労を重ねて、われわれがその手法を
学んできたことの積み重ね。

外科医は従来、骨関節を扱う整形外科医が主流
だったのが、内蔵を扱う方向にむかせたのが

ビルロート先生。

いまでもまだ胃がんの手術術式にその名が残るビルロート。

胃がんで亡くなった患者さんの解剖や
病理学的研究、手術の段取りを準備に準備を重ねて
1881年43歳の女性患者の胃がんを切除
し、成功をおさめたというもの。



外科医なら一度はウィーン大学付属医学博物館に
足を運んでみますと。

b0180148_2151513.jpg


その偉業をたたえるために、胃切除標本が
保存展示されています。



それだけでなく、喉頭がんへの喉頭摘出手術
の導入、、、へえっ。


有能な外科医をさらに育て


さらに一目で臨床経過がわかる

「温度板」を外科臨床に持ち込んだのもビルロート。

へえっ。。


電子カルテでスクロールしていって字が細かくて
見えない、今の温度板。

昔は、温度板に血液データや検査計画、抗生剤の
開始、中止、変更、そのほか臨床データを書き込む
のが研修医の仕事で。


一目みただけで患者さんの様子を理解できる
仕組みがあったのです。


それもビルロートが外科領域に
もちこんだなんて~



すげえっ。



ぽちっとな
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# by kenzaburou41 | 2012-07-31 21:19 | ひとり言 | Comments(0)

死ぬまで酒を続けたい

こないだ、下咽頭癌で
内視鏡検査を受けた患者さん。

検査する前から、心拍数が180超えてて

ん? 普通じゃないな、、

と思ってたら案の定アルコール依存症
で。

西原理恵子さん曰く、
「アルコール依存症も立派な
病気で、癌と同じようにしっかり治さないと
体も精神もがボロボロになる」

きちんと治療を受けてください
と伝えたけど

「もう手遅れみたいだし、酒を
止めるくらいなら死んだ方がまし」

といい放って診察室を出て行きました。


治療が嫌だ、と言っても
何もしなければ、症状が悪化するばかり
だし、、

下咽頭癌の怖さは、進行すると
食事がとおらない、呼吸もしにくくなる

そう伝えたけども
「酒は止められない」と。


ケン三郎も、嫌な事があると
酒を飲みます。

今回のブログ消滅事件
はほんと、酒の量が増えました031.gif

もちろんいい時にも酒をのみます

同じような仲間と酒を飲んで仕事
の愚痴をこぼす

話す相手がいるから、嫌な事も
忘れられるし、前向きになれるんだ
と思います。


「せんせ、聞いてくれる?
俺が病気になって、両親も高齢なんだけど
どうしたらいいか途方に暮れてるんだよ
でも、先生には関係ないけどね」

話したかったんですね、
病気への不安を。

そんなに人間は強くありません。

医療には、いろんな不確実なことが
あって、すごくうまく行く事もあれば
想定しなかったことが起きて
うまくいかないこともあります


このブログを通して
みなさんの声を聞けるのは
勉強になります


酒に頼って病気が悪化するくらい
なら

このケン三郎に
話してくださいな。

亡くなったご主人、本当に
つらいですよね、無念ですよね、

たくさんたくさん話して
下さいな

そして皆が明日は笑って
いられるように。

ぽちっとな
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# by kenzaburou41 | 2012-07-30 23:28 | がん患者学 | Comments(1)

手術前にやっておくべきこと

食道癌の手術後

なんらかの合併症が起きる確率は約50%
と言われており、その中でも頻度の多い
のが、呼吸器関連(主に肺炎、無気肺)

縫合不全

出血

乳び胸

さ声(声がかすれる)

胃管壊死

膿胸

敗血症

MRSA腸炎,肺炎、、

手術死亡率は2%前後と言われています。

最大限の注意を払って手術しても
残念ながら亡くなる方がいる

限りなく少なくするために
推奨される方法は?

ガイドラインでは

1)禁煙

2)呼吸訓練

3)口腔ケア(歯科にかかって歯垢歯石除去)

4)短い手術時間と少ない出血量

5)手術前30〜60分以内の抗菌薬投与

6)早期離床(早くからだを動かす)

7)痛みのサポート(積極的に痛みをとる)

8)血糖管理=血糖を90〜150程度に
抑える、しかし極端に血糖を抑えるのは
低血糖のリスクがあり、勧められない

9)炎症性サイトカインなどのコントロール
(周術期のステロイド投与、
好中球エラスターゼ阻害薬の投与)

この9つが推奨されています。

我々が、安全に確実に手術を
することはもちろん
術後管理、医師だけでなく
いろんな職種の方があなたを
サポートします

このうち患者さんのがんばりで改善が
できるもの
は1、2、3、6です

「食道癌と診断されました」

「手術が必要です」

といわれて、入院までの時間が大事です。


口腔内ケアのために歯科医を受診し
歯の噛み合わせなどもチェックしましょう

もっとも大事なのは禁煙です


これができないと、術後必ず苦労します

「あの時しっかりやっておけばよかった」
と後悔する前にしっかり禁煙しましょう。


ぽちっとな
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# by kenzaburou41 | 2012-07-30 01:20 | 手術前にやっておくべきこと | Comments(2)

都会と地方

今日は外科同門会があって
肝臓外科の前教授が久しぶりに
会にでてみんなの前で話す機会があり

現在、地方の病院の院長になってて

現在の臨床研修制度が発足し
研修医が地方大学に残らなくて
都会の魅力ある症例も多い
所に集中してて,地方は
疲弊している、研修医がまず
病院に残らないから中堅の
医者を確保するのが大変で

何度も若い医者を派遣して
欲しいと近くの大学に頭を下げ
ている、、、

都会の大病院で仕事をしている
君たちは非常にうらやましい
いかに恵まれてるか

それに比べて、田舎で
ちゃんと仕事をしてても
今はいろんな情報を知る
機会があるので,いわゆる
名医の所に患者が集まる


せっかく手術の準備を進めていても
都会に患者さんが行ってしまう

と嘆いていらした。


地方で,手術の責任を背負って
マンパワーが少ないなか、
食道の手術をしている先生は
そうとう,頑張ってると思います。
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# by kenzaburou41 | 2012-07-28 22:58 | ひとり言 | Comments(0)

Googleで「食道癌のブログ」をひく

Googleで「食道癌のブログ」を検索して

キャッシュというところを押すと、

おお、、、

b0180148_1814965.jpg




私の愛しきブログが
記録されている、、、


こんなところにおったんか、、

がんばったなあ、、、、

お前、あんな妨害をうけて、、

さぞ悔しかったろう、、



やしきたかじんさんも山田五郎さんも

桑田佳祐さんも小澤征爾さんも

中村勘三郎さんも

みんなお前のこと見に来てたんやで

毎日毎日かかさず記録して


ノーベル賞ものやで

泣いてばかりじゃいかんのや


お前のことはわすれないで

わし、これからがんばるからな。


ぽちっとな
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# by kenzaburou41 | 2012-07-28 18:23 | Comments(1)

中村勘三郎さん

6月18日、初期の食道がんであることを公表し、年内いっぱいは治療に専念することを発表した歌舞伎俳優の中村勘三郎(57才)。

「勘三郎さんは6月上旬に入院したそうです。病室は1泊数万円のセレブな個室。一般病棟に比べて、ベッドも広い。おしゃれな絨毯も敷かれていて、癒しの雰囲気があって、治療には最適の場所です」(医療関係者)

 食道がん治療で思い出されるのが、サザンオールスターズ・桑田佳祐(56才)だ。2010年8月に手術を成功させ、その年の紅白歌合戦に出場、いまでは全国各地でライブを行うまでに回復している。

「実は勘三郎さんが入院している病院は、桑田さんが入院していた病院と同じなんです。しかも、担当医まで同じ先生だそうです」(前出・医療関係者)

 この医師はどんな人物なのか。

「40代半ばとまだ若いんですが、手術の経験が豊富な名医ですね。もともと、別の病院にいたんですが、才能を買われて引っ張られたんです。患者さんのことを第一に考えてくれる優しい先生としても評判です」(別の医療関係者)

 桑田の命を救ったゴッドハンドが、今度は勘三郎を救おうとしているのだ。





ちなみに「食道癌のブログ」を毎日かかさず
読んでいたのに、更新が打ち切られ、困惑しているという。。

なんちゃって。
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# by kenzaburou41 | 2012-07-28 14:28 | ひとり言 | Comments(1)

食道癌手術の歴史

食道は消化器の中でも手術がすごく大変
な臓器で

食道外科の手術の歴史をひもとくと、

1861年のビルロートの頸部食道切除(犬の実験)
に始まり~

人では1877年Czernyによる頸部食道癌切除

1913年Torekらが胸部食道癌切除、この患者さんは
13年間生存したとのことで、

これが本格的な食道外科の幕開け

日本では瀬尾、大澤らが1932年に始まり

でも手術死亡がめちゃめちゃ多く、しばらくは
危険な手術という位置づけ。

1950年中山恒明先生が手術死亡5%(胸壁前再建)
という好成績を報告、

しかしこのころの手術死亡16%! 5年生存はわずか12%
と非常に成績はよくなくて

さらに欧米で同時期の手術死亡は25%と非常に高率であった。

手術は2回か3回にわけて行うのが普通で
一回でつなぐ、ということはなかったそうであります。



患者さんが手術でなくなる、というのが比較的頻繁に
あった、

だからこそ、食道外科医はなんとかしなきゃ、

術後管理もひとたび手術があれば、家に帰るなんて
とんでもない、3-4日泊まり込みはあたりまえで
患者さんの痰をとったり、特に呼吸管理が大変だったそうです。


つづく


ぽちっとな
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# by kenzaburou41 | 2012-07-27 21:59 | 食道癌診断治療ガイドライン | Comments(4)

喉頭前方けん引法

食道の入り口をよく見たい場合

1)まずスニッフィングポジション

左側臥位で横になって
こぶしが一握りくらい入るように
頸を前に倒します

くびを前に倒したまま、今後は下顎を前につきだします

「アイーン」の体位です。 

経口内視鏡を入れる場合でも、この体位のほうが
スペースが広がってオエッとしにくいですから
ぜひやってみましょう

知らない先生には教えてあげましょう

2)次に前方けん引法ですが

下顎を前に突き出すと、のどのところに
カーブができるとおもいます。

このカーブの真ん中、

おそらく甲状軟骨と舌骨の間?に右手を入れて
ぐっとあごのほうに引っ張る、

うまくいえないのですが
押して引っ張る
イメージです。

b0180148_15525494.jpg



この時右手が離れるので、
経口内視鏡で入れた場合、
ストッパーのないマウスピース
だとスルスルぬけてきて観察がしにくいと思います

鼻からの場合も、サブちゃんのような鼻の孔がでかい
患者さんはスルスルぬけてきますが
たいていの方は、鼻で固定されているので
そう一気に抜けることは少ないです。


この2つだけでも、視野はだいぶひろがります。

あとはアップップですけど、「息こらえ」「うっと止める」
ではなく「息吐き続ける」「口を結ぶ」「頬に空気を充満させる」
イメージです。


今、経口内視鏡でもこの手法を取り入れている先生が
出てきて、「やっぱりここも見なきゃ」
というのが次第に浸透しております。

この3つを全部合わせて、コツをつかめば約8割上がります。

そうはいっても、なかなか上がんないよ、と思う先生、

ケン三郎は最初の半年は58%でしたが
最近の半年は78%です。

習得して損はない手技ですのでお試しください。
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# by kenzaburou41 | 2012-07-27 16:10 | ELPSでのどを守る | Comments(0)

推奨グレード

「食道癌診断治療ガイドライン」
は食道癌の治療経験の豊富な先生方が、
経験の少ない先生にこうしたほうがいいですよ

という指針を打ち出したものです

グレードがA~Dまであって

A 強い科学的根拠があり、行うように強く勧められる
B 科学的根拠があり行うよう勧められる
C1 科学的根拠はないが行うよう勧められる
C2 科学的には根拠がなく、行わないよう勧められる
D 無効性、あるいは害があることが科学的に根拠があり
行わないように勧められる


簡単にいうとAが「それ常識やん」
Dが「え、そんなことやっちゃいかんよ」

医者はだいたい、このガイドラインに
沿って治療しますが

治療法は同じステージでも
患者さんによってもまちまち
なのが食道癌治療の特徴ですので

経験のある先生はいくつかの方法
でどれがベストか,ベターかを
計りにかけて方針をたてます

ケン三郎はこんなこといってるけど
そんなこと違うんじゃない?

ということが時々あるのも、
治療に多様性があるという
特徴を示しています。


ぽちっとな
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# by kenzaburou41 | 2012-07-27 08:00 | 食道癌診断治療ガイドライン | Comments(0)

頸部食道癌の手術

頸部食道癌は、食道癌の中では頻度が少ない
のですが、内視鏡では食道に入ってすぐなので
入るときに見ないで通り過ぎる

抜く時もゆっくり抜かないと簡単に
見おとす所です

胃の観察が終わるとよく、内視鏡に
付いているサスリストさんが

「はいもうすぐ終わりですよ〜」

と声かけしますが

「いらん事言うな」な話で、
頸部食道を見る場合は胃から戻ってきて
じっくり観察する必要があります

一般的に早期発見が難しいので
進行癌で見つかることも多く

よってリンパ節転移もあって。
簡単に周囲臓器、とくに気管、甲状腺
などに浸潤しやすい

けれども転移している範囲は頸部にとどまっている
ことが多いので根治手術に回ることが多い

手術は口側が食道入口部にかからないものは
のどを残す手術が可能ですが、腫瘍が胸部食道に
伸展しているもの、下にもたくさん多発病変があるもの
などは頸,胸、腹までの食道を全部切除する

そうでなければ、頸部食道だけを切除し、
お腹から小腸の一部を持ってきて
それを栄養する動脈と静脈を近くを走っている
血管にそれぞれつなぎます。

ここで形成外科医が顕微鏡をつかって
うまーく血管を目にも見えない糸を
操って縫合しますと、腸に血流が
行き、消化管としてつながる、という
ことになります。


喉頭を残す手術と喉頭,咽頭、まで切除する
手術

なるべく機能は残したい、でも
癌をとりきならいわけにはいかない

ので喉頭を残せるかどうかの評価が必要
です。

b0180148_7264429.jpg


経鼻でValsalva法をつかって
口側にはがんが来てないぞ
ってことを良く見ておくと
参考になりますが

実際は手術のときに、「迅速病理診断」と
いって、口側のはじっこを顕微鏡でみてもらって
癌がいませんよ、と手術中に確認する
(ガイドライングレードB)、
すくなくとも粘膜面にいない事を確認する
のにヨード染色を行って、どこで切るのがよいか、
のどを残せるか?を判断します。


ぽちっとな
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# by kenzaburou41 | 2012-07-27 07:49 | 食道癌診断治療ガイドライン | Comments(0)

ライフワーク

ケン三郎はろくに論文も書かずに
ブログを書いてて

賛否両論

目を付けられることもしばしば

良くないと思ってる方
だってきっといるだろうし

たくさんの人が見に来れば、
くるほど、そのリスクも高まります

万人が同意することなんかあり得ない

そう思っています

今まで書いた記録を他人に
一気に消去されたときの悔しさ

一生忘れません

何も無くなってしまった、、

しかし、まったく0ではない
ことに気付いたのです

みなさまの温かい声援
たしかに
届いています

ケン三郎はこの声
を無視するわけにいきません

言論の自由が奪われる可能性がある
状況で続けるわけにもいかず

新しくスタートさせます

これまでの記事は全て
飛んでしまいましたが

また新しい歴史をともに
歩もうと。

ありがたいことです、

幸せものです,

ケン三郎。

ぽちっとな
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# by kenzaburou41 | 2012-07-26 23:47 | ひとり言 | Comments(1)

ロサンゼルス分類 逆流性食道炎(GradeA)

b0180148_17365477.jpg



ちなみにこちらが逆流性食道炎
のGradeA

といわれる程度の軽い食道炎です。

胸やけ

酸っぱいのが上がってくる

のどの違和感

咳 

ぜんそく様症状

などなどの症状を伴います。


治療の大原則は「腹八分目」「食べてすぐ横にならない」
「夜食厳禁」「ストレスためない」

でございます。
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# by kenzaburou41 | 2012-07-26 17:39 | 逆流性食道炎 | Comments(0)

逆流性食道炎似の食道癌

もともと癌細胞は自分の正常の細胞です。

細胞が変化して歯止めなく増殖し続ける
のが癌細胞で

それと異なり、元に戻るのが炎症です。

食道の病気で最もメジャーな病気が
「逆流性食道炎」で、

飽食の時代、老若男女、食べ過ぎ、飲みすぎ、
食べてすぐ横になる

これを続けていきますとかなりの方が
この病気にかかります。

食道炎のほとんどは今お薬でコントロール
されることが多いのですが

中には食道炎ににているけど
食道癌、という紛らわしいものもあります。


b0180148_12372020.jpg



↑のような写真をみると、下部食道に縦走する発赤がある。

食道炎に似ているので一見「食道炎」
かな、とも思います、周りに白濁もあ
ってうっすらと縦に走るような粘膜の肥厚もあります。


ところが、やっぱり形がギザギザしていて、
整ってない、食道炎でみられる「毛羽立ち」
が見られません。


こういう場合に拡大内視鏡、画像強調内視鏡で
見てみますと

この赤い部分には いわゆるドット状の異常な血管像
が観察されます。

これだけでも「食道癌」であることがわかり、

さらに食道学会拡大内視鏡分類のB1血管
(ループ構造の保たれた血管)ですので

これは内視鏡治療で治りそう、ということが推測されるのです。







b0180148_12373371.jpg



医学の進歩は目覚ましいので
ございます。
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# by kenzaburou41 | 2012-07-26 12:51 | 食道癌診断治療ガイドライン | Comments(0)

切除不能進行食道癌

切除不能食道癌で肺や肝臓に転移のない
ものはステージⅣa期で、
(T4で転移のないもののみ3期)
この状況で治療開始、となると

治ること

よりも

いかにいい状態で長く暮らせるか?

にポイントを置きます

治らないこともないけれど、最初に診断された
ステージ(進行具合)が進めば進むほど
治る確率は低くなります。

ステージⅢ期と比べてガクッと成績がおち、
いいところで2割、以前は1割いくかどうか
という成績でした。

さて、治療法としては切除不能ですので、基本
手術を最初に選ぶ、という施設は少ないようで

抗がん剤、放射線この2つの治療がメインの
癌をたたく治療となります。

放射線は同じ場所には1度しかあてられません

抗がん剤は効果のあるかぎり、繰り返し行えます。
その代り、癌を治すパワーは放射線よりも弱い、

放射線をやるときには抗がん剤を加えたほうが
効果が高いので通常は抗がん剤と放射線を同時に
行うのが一般的です。

また放射線と抗がん剤では、それに伴う有害事象
もさまざま、「手術をしなくてすむ」といいましても
放射線と抗がん剤も決して低侵襲な治療では
ありません、時に治療関連死(治療が原因で死亡)
する場合もあります。

それと同じくらいの危険を伴う
治療と考えましょう

ステージⅣa=自動的に抗がん剤と放射線
からスタートし、効果があって縮小したら
救済手術を行う、切除できなさそうなら
バイパス手術をおく、という施設もありますが

放射線を当てると、穴が開きそう、
大動脈と交通して出血死しそう

という場合には、治療中に食事がとれないまま
死亡する、という可能性もあるため
まず、食道バイパス手術をさきにおいてから
放射線を当てる、という考え方もあります。

その場合は腹部のリンパ節郭清は同時に行えるので
放射線照射の範囲を局所だけに絞れる、という
メリットもあります。

問題は手術がうまくいかず、合併症を起こすと
正規に行う予定だった放射線、抗がん剤が
後後に遅れてしまい、癌が進行してしまう
というリスクがあります。

食道癌治療は症例数が多い施設ほど成績がいい

これは周知の事実で
最近は新聞、週刊誌でもその症例数が
掲載されています。

1番が1番いい

ようにもみえますが、

年間20例近く食道癌の手術をしている施設ならば
かなり慣れている施設と考えてよいと思います。

40あれば、ほぼ毎週のように食道癌手術がある
わけですので、相当こなしている施設です。

あまり多すぎると、スタッフの負担も相当です、
実際、そういう施設の先生は早朝から働いて
深夜まで術後管理、土日ももちろん顔を出す

困った人を助けたい、と仕事に夢中になっている
先生がほとんどです。

バイパス手術も、経験豊富な施設ほど
おそらく安全にできると思います。

放射線、抗がん剤が効果がなく
切除はできない、でも食事を一口でも食べたい

こうした治療をさんざんやった上の
バイパス手術は栄養状態も悪く、
リスクもそれなりにあります。


でも、ずーっとずーっと食事がとれなくて

バイパス手術をうけて
お水が飲めた患者さんは必ずこういいます

「ああ、水が飲めることがこんなに幸せとは
今まで思わなかった、、」

この一言のために、食道屋さんは日々
やりがいを感じて仕事に打ち込んでいます。
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# by kenzaburou41 | 2012-07-26 08:17 | 食道癌診断治療ガイドライン | Comments(0)

内視鏡治療適応

私が食道外科を専門にしたのが2001年です。

それまで食道というととにかく大変そうで
専門にするなんて、、、と決して近づかなかった
のですが。

食道の内視鏡診断の面白さ、

それは「深さが浅いものは内視鏡治療で治る」
「深いものは手術が必要」

その見極めが非常に重要。 

深さの診断は大雑把に粘膜癌か粘膜下層癌の2つに
分ければいいというレベルですが、

食道の深達度診断(ふかさを推測する)は日本の基準では
6段階にわかれています。

浅いほうから深い順に
m1/m2/m3/ sm1 sm2 sm3

正確にはT1aEP T1aLPM T1aMM sm1 sm2 sm3で

MMからリンパ節転移が9%

SM1で16%

SM2で40%

SM3で60%


どのレベルと推測するかで、内視鏡でいけるかどうかが
だいたいわかりますから、これを診断できるかどうかが
検査医に肩にのしかかります。

浅いのに深く読むと、手術しなくてよかったのを手術してしまったり

逆に深いのを浅く読むと、内視鏡では治らないのに手をだしてしまう


でもどっちがよくないかというと、浅いのを深く読んで手術しちゃった
場合です。

もとに戻れないからです。



b0180148_2058144.jpg


たとえば左はm2です

右はSM2です

違いは一目瞭然、 食道の筒が丸く弧を描くのに
右は明らかに厚みがあって、弧が内に突になっています

「弧の変形」と呼びますがこの所見がある場合は
SM浸潤ありとよんで、内視鏡だけでは治らない、
初めから手術、もしくは内視鏡+放射線抗がん剤
もしくは最初から抗がん剤放射線

いずれかの治療が選択されます。

転移のない、SM2食道癌=ステージⅠ

現在、食道癌の治療をたくさん
やっている施設での手術成績は5年生存率が9割を超えています。

これに放射線がどこまで迫れるか?
あるいは内視鏡と絡めてどこまで治せるか?

が検討中でございます。
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# by kenzaburou41 | 2012-07-25 21:19 | 内視鏡治療 | Comments(0)

診断的EMR

表層拡大型食道がん

EP~LPMがひろがる中で

どこが一番深いかを予想する

それには拡大内視鏡が最も有効で

ループ構造のくずれたB2血管をさがす

ここを含めてEMRしてMMより深かったら手術を勧める

せっかく手術で治る病気です、

ケモラジでも治るかもしれないけれど。
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# by kenzaburou41 | 2012-07-25 18:06 | 内視鏡治療 | Comments(0)

イチロー

いままで積み重ねたものが

その価値もわからない業者に

ある日突然消去される悲しみ、、

未来永劫語り継がれる、歴史に残る
ような「食道癌のブログ」を
書いてやろう。

100年先、食道癌は進行癌で
見つかることが珍しくなり

そして進行癌でみつかることが
恥ずかしいことになるくらいに。

バリウムなんかやめちまえ

この悔しさをまたバネにやったろうじゃないか

頑張れイチロー

まだまだ終っちゃいないのさ
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# by kenzaburou41 | 2012-07-24 23:05 | ひとり言

43回岡山胃腸研究会

このとき初めて、この白い枠内に病気が隠れていない
ことを確認し、ものすごく感動したんですわ


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# by kenzaburou41 | 2012-07-24 18:04 | 講演録 | Comments(0)

食道癌のブログ 再開です!

イチローが電撃トレードのこの日。

アメーバからエキサイトへ

挑戦を続けます。  
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# by kenzaburou41 | 2012-07-24 17:19 | ひとり言 | Comments(1)