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放射線治療の合併症

進行食道癌への2大強力治療が手術と放射線

それをさらに強力にする役割が抗がん剤です

食道癌の手術を受けることになった患者さん
が治療の合併症の話を聞くと大概の方は
「背筋が凍る思いがした」
「こんなに大きな手術とは思ってなかった」
「悪い所を取り出してつなげば,元の生活が
できると思っていた」
と、時に「これはとても乗り越えられない」
と手術を回避される方もでてきます。

手術を受けたくない患者さんの受け皿に
あるのが「放射線」と「抗がん剤」治療です

一般的に全身状態がいい患者さんには
放射線と抗がん剤を同時に行った方が
効果が高いとされるので、併用する
ことが多いです

しかし、放射線治療もまた
さまざまな合併症が生じます。

放射線治療中の3大合併症が
「皮膚炎」「食道炎」「肺炎」
で,食道炎に関してはほぼ必ず起きて
治療の終盤には「痛くて全然食事が
入らない」と食事をストップする
方も少なくありません

また抗がん剤を使う事で抵抗力が
弱まり、肺炎を起こせば頻度は
低いですが重症化する場合
もあります

放射線を当てて治療が終わってからも
後からさまざまな問題が生じるのが
放射線治療の特徴です

食道に穴があく=出血、気道との交通,肺とつながる
回復が難しい問題

頸に放射線が当たった場合は甲状腺機能低下

心臓に当たった場合は心外膜炎による
心のう液の貯留(心臓の周りに水がたまり
心臓が動きにくくなる=心タンポナーデ)

や収縮性心外膜炎、不整脈、突然死。

放射線性胸膜炎による胸水の貯留
で何度も入退院を繰り返すことがある

さらに極稀ですが脊椎炎。

5年、10年と食道癌が治った後に
問題が生じる可能性があります


現在はこれらの問題をなるだけ減らすよう
な工夫が各施設で行われていますが

放射線が効くかどうか、
癌が完全に0になるかどうか
はやってみなきゃ分からないところもあり。


「手術も大変けど
放射線も同じくらい大変」


と理解していたほうがいいと思います。

合併症は早く見つけて
早く対応するに尽きます

がんばりましょう


ぽちっとな
by kenzaburou41 | 2012-08-11 23:12 | 放射線治療 | Comments(1)
Commented by あさりしじみ at 2012-08-12 20:38 x
先生、探しましたよ~。アメブロで行方不明になってからというもの、毎日火が消えたようにオロオロしました。先生のブログは食道癌患者、及びその家族のバイブルです。毎日欠かさずチェックとポチ、これが心の安らぎと日課でした。どうぞいつまでも続けてください。
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