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後縦隔再建

さて、再建経路(手術のときに臓器をどこを
通してもちあげるか)

の違いですが、各ルート、一長一短あります。

2012年の食道癌ガイドラインによると
「最も多く施行されているのは後縦隔再建」
と明記されています

この理由は、元々食道があった場所に胃を
引き延ばして帰ってくるので、最も生理的
で、「のどで詰まる感じ」がすくなく嚥下機能
の点で有利

また最短ルートで胃をもちあげるので
胃の血流かいい所でつなげる
=縫合不全や胃管壊死といった
重篤な合併症が少ない

と書いてあります

しかし、このルートの怖い所は
うまくいかなかったときに、致命的な問題が
他のルートよりもおきやすい

という問題があります

縫合不全、胃管壊死=縦隔炎、膿胸、肺炎、敗血症

いろいろな処置を施しても
患者さんを救えないことがあります

外科医が最も怖れる合併症です

また、元気に退院してからも
このルートを通した場合は

1)食道癌が再発したとき

2)胃に潰瘍ができたとき

3)胃に癌が発生したとき

に問題になります。

胸の中に食道癌が再発した場合には
放射線や抗がん剤で治療します。

癌をとりきった、と思ってそこから
癌がでてきたわけですので、
もう一度そこを切除することは
稀です。

放射線が胃にあたるのもあまり
よくありませんが

かといって何もしないと胃が
再発巣から圧迫を受けて食事が
通らなくなってしまう

ですからかなり進行した癌を
切除したあとに、胃を置いてくる
ということはあまりされない
のが通常です。

2)の胃潰瘍ができる

これも油断できない問題です

大きな潰瘍が出来ると穴があいて
まわりの気管や気管支、大動脈に交通
死に至る事もあります

黒っぽい便が続くな、体調悪いな、
ストレスがたまって背中が痛いな、
食欲ないな、ふらふらするな

こういう時は要注意です、内視鏡検査を
受けましょう

3)胃癌が新しくできる

2002年のデータで食道癌ができる人の5人に1人
他の臓器にも癌ができる

とされていますが、食道癌の治療成績が
上がって、長生きする方が出てきて
経過を見て行くと,結構他の臓器に
癌がでてくる人が少なくないです。

カメラの性能もあがって
ここ数年の頭頸部表在癌の
発見数を考慮すると

3人に1人くらいに上がっているのでは
ないでしょうか

このうち、胃、頭頸部、その他(肺,大腸)

が重要です。頭頸部が特に多いのが特徴ですが
日本人に多い,胃もまたよく重複します

これは早期発見すれば内視鏡で治療できますが

進行してみつかって、後縦隔再建だと
手術も大変です。(胸の中でまわりと相当くっついて
いるなかの手術ですので)

5年経って食道癌を克服したら、
なおのこと、内視鏡検査を
しっかりうけて、のどから
口からよく見てもらって下さい


ぽちっとな
by kenzaburou41 | 2012-08-21 07:47 | 手術後のアフターケア | Comments(1)
Commented by ぷちさち at 2012-08-22 00:36 x
こんばんは。
最近 術後の食事についてのコメントが多いようなので 参考になればと・・・ダンナ術後3年目に突入しました。
初期のころは ご飯は 柔らかめのご飯でした。(仕事復帰後は 朝時間がかけられないので 朝は おかゆ)
ひき肉は ほぐれやすいので ハンバーグとかは 平気でした。
あと とろみをよくつけてました。麺類は 半分に折ってゆでてました。
ダメだったのは 牛肉、かじき、ナス、玉ねぎ、菜っ葉系。刺身は 大丈夫でした(タコ、イカは避ける)貝類のひも も ダメでしたね。
シチューや ポタージュ風に野菜や肉、ハム類をつぶしてスープとかもよく作りました。
職場復帰後は お昼に おにぎりを ぎゅっと握らずに 作ったものを もって行ってました。中身は 鮭ほぐし、そぼろなどの タンパク質系、
混ぜ込むのは 野菜系のふりかけって感じです。
職場には 飴、カロリーメイト、エネルギーインは必ずもって行ってました。(今でも 飴は もって行ってます)
今は 飲んでませんが 病院から紹介してもらったブリックタイプの流動食を飲んでました。
今では 普通に 食事してます。(餅、タコは こわくて食べさせてませんが) 
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