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表在癌の拾い上げのコツ

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DDWに行ってきて発表を聞いてきたんですわ


「ハイリスクに経鼻+FICEでさがしたけど頭頸部表在癌が1例も見つかりませんでした」

という施設もあったので

冨士フィルム派の先生に
拾い上げのコツを。

経鼻の利点は、反射が少ないからじっくり観察できる
時間がある

ということでして。

このじっくり診る、がまず一番大事です。

オリンパスのかたはNBIを用いますが
遠景からみると暗いという特徴があります。

その点FICEは明るいのですが
NBIほどの鮮明さは皆が感じていると
思いますがくっきりBrownish areaには
ならないので

最初からFICEを使ってはいけません

あくまで基本は白色光でじっくり診る

白色光でじーっと診ながら左右差はないか
なにか白い付着物がついてないか
正常血管が途絶えて真ん中が赤くなってる
ところはないか

に注目します。

外勤先でNBIもFICEもない、そういうときは
白色光が頼りですから、白色光で探す
ことにベースをおきましょう

スニッフィングポジション(前頚でアゴを前に突き出す)を
徹底します

かならずのけぞる方がいますので、下咽頭深部を
診るときはもう一度体勢を確認しましょう

いきなりValsalvaをやるわけではなく
鼻から入れる前に

まずは口の中を良く診ましょう

ベロを持ち上げて口腔底をよくみます、

ここは経口内視鏡でも診る先生は
食道専門医だけですから

より広くみなきゃ、、と思うならば口腔内を診てみましょう

食道癌患者でこの3年間で15人ほど口腔内癌を見つけています。


鼻から入れて、唾液を吸って
いつものルーチン、右梨状陥凹、
喉頭、左梨状陥凹、喉頭蓋谷
後壁

これに最近は舌根部も加えて観察できます。


FICEはあくまで診断の補助でメインではありません

白色光で異常がありそうだぞ、

というところに近づいて、あれ?なんかおかしいぞ?

と思ったらFICEにぽちぽち切り替えましょう。

この時フリーズボタンを長押ししてから
FICEに次々切り替えると

白色光-FICE0ーFICE5ーFICE8が
同じ画面の上に重ねて見えてきます

そこでドットが何となく見えて

周りの正常血管が明らかにとぎれていたら
これはおかしい

と考えて下さい

にているのは「リンパ濾胞」「GA」「乳頭腫」です

リンパ濾胞は丸みを帯びた小隆起で小白苔がポツポツついている事が多いです
つぶつぶ血管がたくさんはみえません

GAは白い平坦な隆起で形状が整った形をしています

乳頭腫は唾液の海に浮かべるとふわふわと珊瑚のように浮いた感じになります
生検するとカップからこぼれたようになり、柔らかいのが特徴です


癌は周りにもメラノーシスを伴っていたり
ちいさな白い付着物がかぶっていたり
正常とは境界をもって違う、領域

ですから

ブラウニッシュアリアにとらわれず

むしろ周りの血管が途切れているところ

をさがした方がいいと思います。


↓血管が途切れている所をさがしましょう

下咽頭癌をよく伸展した状態で観察できます。

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NBIでの探し方と

白色光-FICEでの探し方はまったく違う、

じっくり時間をかけて観察が出来ることで「画質」や「画像強調」の差を
補えるはずです。


NBIやBLI、拡大がいくら進化しようとも
生きた細胞がみえるようになっても

拡大内視鏡では死角があるのが
この咽喉頭領域です


経鼻を持つと決めたなら

是非この特性を生かした拾い上げをがんばりましょう



ぽちっとな
by kenzaburou41 | 2012-10-12 21:35 | 経鼻内視鏡 | Comments(0)
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