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症例1

症例1は80代後半の食道腺癌、T3N0M0

年齢って、治療法を選ぶ大きな要素ではある
ものの

同じ80でも、よぼよぼのじいさんと

割と元気、しゃっきりしているおばあさん

平均寿命が5年以上も違うわけなので

じいさんよりばあさんの方が余命が
長く、また体力も残ってる事が多い

治療法として、家族が
「もう年だから手術なんて。。。」

「手術の合併症で亡くなった人を知ってる」

「勘三郎さんのこともあるから手術なんて
恐ろしい」

と極端に手術を否定する人もいるし

なかにし礼さんのように、自ら治療法を
選択してうまくいく人もいる。

さてこの症例。

前医で「年齢のこともあるし、放射線だけで
行きましょう」

と開始したものの

「放射線だけでは治らない可能性が高いです」

と言われて、途中「いや、手術できるなら
やってもらえないだろうか」

と、途中で放射線を18Gyで中断し
食道癌の専門施設で手術を受けたそう。

「心臓、肺、腎臓、その他全身状態の
結果、年齢以外の要素では手術できそうです」

食道扁平上皮癌に放射線治療は
一般的に行われているけど

食道腺癌は、日本では頻度が低いので
コンセンサスの得られた治療法が確立されて
いない

「腺癌に放射線は効かない」というような
認識が日本の食道屋さんの中にはあるけど

欧米では、標準的に行われているので
やって悪いということはない

胸部下部〜腹部食道の進行食道癌となれば
若い人なら右開胸だけども

年齢的なことも考慮して
左開胸胸腹連続切開の下部食道噴門側胃切除
胃管胸腔内吻合を選択。

外科医の中では
「逆食炎の事を考えればこの術式はあり得ない、
胃も全摘して空腸でRY再建するか、空腸間置だ」

「いやいや、細い胃管であげて、しっかり
PPI使えば問題ない」
という意見も出て

術式に関してはいろんな意見がでましたけど

「年齢的なことも考慮して一秒でも早く手術
を終わりたく、この術式になりました、
術後も合併症なく元気に退院して今もお元気です」
とのこと。

幸い、その中途半端に終わった放射線治療で
切除標本には癌が消えていた、よく効いていた
って結果で

はあ〜、こういう事もあるんだ、、

と効果ある症例を見せて頂きました。

「こういう隆起型で高分化腺癌でSM
癌だったんですけど、私も手術ができそうに
ない症例に放射線で治療して治った症例を
経験しています」

とのこと。

勉強になりました〜


ぽちっとな
by kenzaburou41 | 2013-02-17 10:34 | 集学的治療法検討会 | Comments(0)
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