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対決〜っ

 日本胃がん予知・診断・治療研究機構の理事会(理事長:三木一正氏)は、今年4月に日本消化器がん検診学会が示した見解に反論する声明を発表した(5月18日付け)。学会は、「X線検査の代わりに胃癌リスク検診(ABC検診)を導入することは、看過できない大きな問題」と反対を表明していた(参考記事: 「ABC検診は根拠不足」学会声明)。これに対し研究機構は、「今後の胃癌対策は、X線検診からABC検診にシフトすることが合理的」と、真っ向から反論している。

 研究機構はABC検診を、X線検診の代用としてではなく、「胃癌対策のファーストステップ」として、全ての検診現場に導入することを推奨。ABC検診によるマススクリーニングでピロリ菌感染者を見つけ、除菌療法と定期的な内視鏡検査を行うことで、将来の胃癌死亡者数の激減が期待できると説明。医療経済の観点でも、ABC検診へのシフトにより1年で133億円、5年継続で1865億円の経費削減が見込まれると試算している。

 また研究機構は、学会が「ABC検診は胃癌死亡率低減効果などの有効性のエビデンスが得られていない」と批判したことについて、間違いであると指摘。「ABC検診は胃癌そのものを発見する検診ではなく、死亡率低減効果では有効性を評価しない。肝炎ウイルス検診の有効性を肝癌死亡率減少効果で評価しないのと同様」と説明している。また、学会が懸念する「無計画な除菌治療への誘導」についても、「除菌療法を保険診療で行う場合は、医師は患者に十分な説明を行う責任があるため、問題ない」と切り返している。
by kenzaburou41 | 2013-05-29 23:25 | 経鼻内視鏡 | Comments(0)
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