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左開胸手術とは?

食道癌の手術で「左開胸」という術式があります。

通常は食道、というと「右開胸」が原則ですが、
この左開胸は「気管分岐部以下の食道切除と108
リンパ節より下の食道の周りのリンパ節のお掃除」
を目的とします。

よってあまり、上の方に転移する頻度がすくない
食道胃接合部の癌や、食道浸潤のある胃癌が
良い適応になります。

食道屋さんは、左開胸というと,ガッパリ大きく
胸を開いてできるだけ視野を拡げて手術をすることに
抵抗があまりないのですが

胃が専門で、あまり胸部の手術になれていない
先生は胸を大きく開けるのを躊躇するそうで
「開胸しないでお腹から縦隔の方に
掘り進めるので充分」といいます。

左開胸でやる場合は第6肋間からへそ上まで
胸の傷とお腹の傷を連続させて切開します。

胸の傷は中腋か線までがっぱり。

この時肋骨は切るのですが横隔膜は
できるだけ温存して食道裂孔からトンネル
を作って食道を牽引しながら剥離を進めます

大動脈、心嚢、横隔膜の表面を露出させつつ、
食道と横隔膜上のリンパ節を含むすべての脂肪組織を
剥離

頭側は切る部分の2−3cm上までできるだけ剥離して
おいて食道を離断します

腹部操作は胃全摘もしくは噴切に準じて
おこなってあとは再建。


「あれ?俺の傷左にあるなあ」

という方は、どちらかというと胃に近い
所に癌があった方です

この術式も最初にやった人は
すごいな、と思います。

お腹と胸をがっつり開いて
大丈夫なんだろうか

大丈夫かどうか分からない
なかで手術した外科医,麻酔科医
メディカルスタッフ、そして患者さんの勇気。

無駄にしないよう
しっかり受け継ぐんですわ

ぽちっとな
by kenzaburou41 | 2013-10-04 22:44 | 手術メモ | Comments(0)
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