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肺がんによる食道狭窄

食道にものが通らなくなるのは
なにも食道癌だけでなく

他の病気が食道の周りに巣を作って
それで食道の通りが悪くなることがある

肺がんの縦隔リンパ節転移がその一つ。

リンパ節転移に対し、抗癌剤と放射線を使って
治療してすこし小さくなったと思いきや

またぶり返して食道を圧迫

癌が小さくなるだけじゃ意味がない

癌が0にならないといつか再発する

「食事がなかなか落ちていかない」
が食道癌が原因でない場合の治療選択

放射線の影響で食道が狭くなってないか。

しかし、もともと食道には何もなかった
わけで、そこに放射線あてて、全然食事が通らなくなるまで
狭くなることは稀。

これは食道がリンパ節で圧排されているためでしょう

その場合の治療は2通り。

ステントか食道バイパス術である。

もちろん、肺がんのリンパ節転移自体を切除
できるにこしたことはないが、
それが出来ないからコンサルト受けてるわけで。

しかし、食道癌への放射線+ステントは禁忌とされている。
高率で裂ける、出血するなどの偶発症が起きやすくなるからだ。

でも外から押されているのが原因だったら
そこを少し広げておくだけ、というステントはありかも。

一度にぐっと拡げて裂けるのは怖い、ゆえにまず
ESD後の狭窄でやるようにバルーン拡張をやってみる。

これで熱がでたり、出血するようだったらステントは選べない。

拡張で効果が得られない、何度かやったけど期待できそうにない
場合はステントを選ぶ。

その狭窄の長さにあったものを選ぶけど、
あまり拡がりすぎると怖いので、気管支用のステントを
代用するのも一つの手である。

ステント挿入後は、3日間連日でレントゲン側面像を取る。
正面からはわかりにくいこともあるから必ず側面を取る

それで3日たって位置が変わらず、ステントも拡がっていれば
もう大丈夫、食事開始だ。

食道バイパスも外科医としては捨てがたいけど
ステントですむならこれほど患者さんにとって楽な治療はない。

というわけで、治療戦略を練る時は
いろんな悪いことに思いを巡らし
こうなったらこうしよう、その予防策はこうしておこう

などの引き出しを持つことが重要。

ドラえもん的発想、想像力が大事っす。

ぽちっとな
by kenzaburou41 | 2014-07-09 22:30 | ステント | Comments(3)
Commented by りょうちん at 2020-10-31 17:03 x
家族が肺腺がんになり 食道狭窄で胃ろう手術をしました。食道についてはカメラ、細胞を採取し検査をしましたが癌細胞が見つからず 放射線治療や抗がん剤治療もしていますが 食道が拡がる兆しがありません。なので食事が唯一の楽しみだった家族は生きる希望を失いつつあります。そんな中何かないだろうか、と検索していたらこちらのブログにたどり着きました。
Commented by kenzaburou41 at 2020-10-31 22:46
> りょうちんさん
食道バイパス手術の適応があるかもしれません。肺癌の病状がおちついていることが条件ですがが。
Commented by りょうちん at 2020-11-18 18:38 x
主様 返信ありがとうございます。最近になり抗がん剤治療(テセントリク)などが効果があったようで 肺の影が少しずつですがキレイになってきていると担当医からの説明がありました。 そしてここ数日飲み物や柔らかい物なら飲食できる様になってきました。 ですがまだ辛そうで本当に少しずつゆっくりです。食道バイパス手術は高齢で体力のない者でも出来るかどうか次の診察の時に医師に聞いてみたいと思います。ありがとうございました。
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