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俺たちは胸部外科医

学生が臨床実習に回って来るってんで
各診療科の特徴をプレゼンする
ってことで7分間で発表してきたんですわ

食道外科とはなんぞや?

君たちは学生で食道のことは
なんにも知らないと思うけど

一言で言えば、食道癌との戦いである。

他にもいろいろ良性疾患があるが、
とにかく食道癌との壮絶な戦いである。

正常の食道はこんなに管腔が広い
しかし癌ができると一気にここが狭くなり

ものが食えなくなる

困ってるでしょう、患者さん

こういう状態の患者さんをいかに食事が
食べられるようにするかが俺たちの仕事です

食道癌はしかも、頸部胸部腹部に転移が
生じ、食道の患部だけを切り取ってそこを
ぽんとつなぐという簡単な治療ではなく

首胸腹と大きく切り取ってその間を埋めなきゃなんない
胃とか腸を持ってきてつなぐ
だからもちろん胃や腸の手術もできなきゃなんない

かつ首も手術する、これは頭頸部外科の領域にも重なる

そして胸。

胸部外科医は心臓外科、呼吸器外科だけだと
思っていたら大間違い。

俺たち食道外科医は胸部外科医でもある。

つまり頭頸部外科、胸部外科、腹部外科
この3つを兼ね備えた外科が食道外科なんだ。

この領域を手術できるようになって
癌患者さんを助けるんだ

ステージ別でいうと
0〜Ⅳ期
進行すればできる治療が減ってくる
治療法を自由に選べなくなるんだ

食事がつまるのに我慢して
いよいよ病院にやってきた、

いくら技術が進歩しようとも
患者さんのなかには病院が嫌いな
人もいる。

内視鏡治療で済めば御の字だけど
外科手術、放射線、抗がん剤、
これらの治療は大変な負担になる治療だ。

そして緩和ケア

これらのステージごとで最近は専門家が分かれる
施設が増えている

おれらは早期診断から内視鏡治療も外科医が
携わってる

だからどのステージの患者にも対応できるし
患者背景に合わせて治療が選択できるんだ

超進行癌だって
もう手術はできないと言われた患者さんにも
放射線、抗がん剤、サルベージ手術、バイパス手術、
ステント治療

いろんな治療を練りに練って余命は短い
かもしれないけど
なんとか
食べさせていい時間を過ごさせてあげたい

それが食道外科医の真骨頂なんだ

もうこんな食道外科は日本に
ほとんど残ってない。

それを臨床の場で目の前で体験できるんだ、
素晴らしい2週間にしてくれよ。

学ぶことはいっぱいありすぎてわかんないと
思うけど

いちおう鼠径ヘルニアの手術もやってるし
頭頸部表在癌の内視鏡治療は世界でトップクラスの
症例数だ。

貴重な経験ができるから
いっぱい勉強してくれよ


と、熱く7分間語ってきました。

来れ、未来の食道外科医

ぽちっとな
by kenzaburou41 | 2016-01-19 22:34 | 研修医のみなさんへ | Comments(0)
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