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頭頸部癌の手術は大きく変わる

昨日、理事長講演をきいてて。

もともと頭頸部癌学会、第一回目は「手術供覧」といって
うまい先生の手術をみんなで見ることから始まり
1961年に125名の医師によりスタート。

一回目のテーマはなぜか「頸部食道癌」だったという。

なぜ頸部食道がんだったか、

最初に外科の先生に頸部食道癌をテーマにしてと頼んだ
ところ、あまり成績がよくなかった、で講演を断られた。
そこで耳鼻科の先生が
代役で頸部食道癌の手術成績をだしたら外科よりもよかった、という。

頸部食道癌の治療は食道外科医が切り開いたのではなく
耳鼻科医が切り開いたのだとか。

へえ、、

でそのうちだんだん、頭頸部外科というのができてきて1976年までは
研究会として続き、それから2004年に学会になった。

よって歴史はまだ浅い

この間に手術法の進歩、下咽頭癌への咽喉食摘、有離空腸再建、血管吻合
などが確立され

さらに手術以外の治療=ケモラジが進化した。

そしていま、低侵襲手術としての下咽頭表在癌へのEMRが1996年世界ではじめて
東京医科歯科大学食道外科で始まり

さらにESDに発展、

耳鼻科からELPSやTOVSなどの経口的切除術が発展し、いまにいたる。


学会に参加してみて
ここ何年かでだいぶこの世界は変わったんじゃないかと感じる。

ELPSやTOVSの適応をどこまで広げるかはまだわからない
ところもあるけど

確実に早期でみつかる頭頸部表在癌は増えていて

頭頸部癌学会では最近、かなり頭頸部外科医がELPSやTOVSに
積極的に力を注いでいる印象で。

それもわりと進行している病気にトライしている。

食道専門家が「なんでもかんでもとりにいっちゃいけない」
なんて思っても、それは食道の世界でしょ、
頭頸部じゃ、切除+あとから郭清でも大丈夫なんですよ
といわれたら、そうですか。と、うけいれねばならない。

施設によってはケモラジ、ケモと組み合わせてどうにか声を残せないか
と試みている が、まだ長期成績がでてないので
なんともいえないし

そんな縮小手術で癌が治るんか、と咽喉食摘をやっぱり勧める
と、これまでの方針を曲げないところもある

でもELPSやTOVSをとりいれないとこの先話にならない
のは間違いなく。

頭頸部外科医は消化器内視鏡医、食道外科医と
タッグをくんでこのQOLがよくかつ、機能温存ができる
治療に取り組むべき

8時間かかってた手術が2時間で終わるようになる

歴史の転換点にいるのだ〜


あと10年後にこのブログ読んだら

どう思うだろうか

大きく変わってるといいな


ぽちっとな
by kenzaburou41 | 2016-06-10 22:18 | 頭頸部表在癌研究会 | Comments(1)
Commented at 2016-06-10 22:52 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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