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JCOG0508

【目的】cSM1-2食道扁平上皮癌に対する標準治療は外科手術だが、術後の組織診断で粘膜内癌であることも経験され、このような患者は内視鏡切除(ER)で十分だった可能性もある。化学放射線療法(CRT)も治療選択肢になるが、局所の遺残再発や晩期有害事象への対策が課題である。cSM食道癌に対するERとCRTを組み合わせた治療の有効性と安全性を評価する。【方法】主な適格規準は以下の通り:cSM1-2の胸部食道癌、生検で扁平上皮癌または類基底細胞癌、画像診断でN0かつM0、病変は長径5cm以下かつ周在性3/4周以下、年齢20-75歳、PS0-1。登録後、原発巣にERを行い、病理結果が1)断端陰性でpM3以浅かつ脈管侵襲陰性では経過観察、2)「断端陰性でpM3以浅かつ脈管侵襲陽性」あるいは「断端陰性でpSM1-2」では予防的CRT(主たる解析対象)、3)断端陽性または組織学的評価が不十分の場合は根治的CRTを実施した。CRTは、5-FU700mg/m2、day1-4とCDDP70mg/m2、day1を28日毎に2回行い、放射線は1.8Gy/回で23回(予防的)または28回(根治的)とした。照射範囲は所属リンパ節を含む予防照射領域で、CT治療計画を必須とし、中下部食道癌は多門照射とした。Primary endpointは予防的CRTを受けるべき患者(主たる解析対象)における3年生存割合(3yOS)。主たる解析対象の予定登録数は、閾値80%、期待値90%、片側α=5%より82例とした。試験の判断規準は、主たる解析対象と全登録例の3yOSの90%CIの下限がいずれも閾値80%を上回った場合に、ERとCRTを組み合わせた治療が外科手術と同等と判断する。【成績】2006年から2012年に177例が登録され、同意撤回1例を除く176例でERが行われた。患者背景は、男/女:147/30、年齢:63歳(42-75)、病変長径:2.5cm(0.5-5.0cm)、cSM1/cSM2:114/63。ER後の有害事象はGrade3の食道狭窄が1例、CRT後はGrade2以上の晩期有害反応を8例(8.3%)認めた。主たる解析対象はpM3以浅かつ脈管陽性の15例(8.5%)とpSM1-2で断端陰性の72例(41%)だが、有害事象による中止2例と患者拒否2例を除く83例で予防的CRTが実施された。主たる解析対象および全登録例の3yOSは90.7%(90%CI:84.0-94.7)、92.6%(90%CI:88.5-95.2)であり、いずれの集団の90%CI下限も閾値を上回った。【結論】cSM1-2食道扁平上皮癌に対しER後の病理結果により追加CRTを考慮する治療戦略は、外科切除に匹敵する生存期間が得られ、標準治療の一つになり得ると考えられた。



sm1とsm2は全然転移頻度が違うんですが、、一緒に
検討してよいものか。

この治療の5年後、10年後の結果を引き続き見守りたいところです。

by kenzaburou41 | 2016-12-28 00:04 | 放射線治療 | Comments(0)
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