本研究は、米国において大腸がん検診の完遂率を高める方法を比較検討したものである。50~64歳の検診未受診者を、検便キット郵送群(便潜血検査キットと返送用封筒を郵送し、2週以内に返送がなければスタッフが電話する方法)、郵送型大腸内視鏡検査群(大腸内視鏡検査の予約電話番号を記載した案内状を郵送し、2週以内に電話がなければスタッフが直接電話する方法)、および通常ケア群(外来受診時に推奨された検査を受ける方法)の3群に無作為に割り付け、3年間追跡した結果、検診の完遂率は、通常ケア群(10.7%)、検便キット郵送群(28.0%)、郵送型内視鏡検査群(38.4%)の順に高率であり、病変の発見率も同様であった。すなわち、内視鏡検査の案内状の郵送が検診の完遂率や病変の発見に寄与する結果であった。
欧米では、1回の内視鏡検査で大腸がんの死亡率が大幅に減少すること1)がすでに報告されており、便潜血検査を用いた検診や内視鏡検診による内視鏡検査の機会を増やすことが重要との認識が一般常識である。わが国でも大腸がんによる死亡者数が初めて5万人を超えて、肺がんに次いで2番目となっており、住民検診ないしは職場検診の受診率および完遂率の向上が重要な課題となっている。わが国の大腸がん検診は1次検診に便潜血反応を用いて、潜血陽性者に対する精密検査として大腸内視鏡検査を行う方式であるが、精検受診率の低さが大きな課題であり、やはり今回報告されたような具体的な検診の完遂率向上策を模索する活動が必要であろう。一方、検診のみでなく便の潜血反応を簡便に調べることができる方策として便潜血キットのOTC化も模索されている。
消化器専門医のみでなく、一般医家や住民・患者自身が、「大腸がんは早期発見により完治する病気であること」、「10年に1度の大腸内視鏡検査で、大腸がんで死亡するリスクが大幅に低下すること」をよく知ることが大腸がん死亡者を減少させるために重要である。
「国民、都民、区民の健康を守る」には積極的介入か。
明後日は選挙ですね~
ぽちっとな