昨日は母校の放射線科の先生方から
ぜひ「下咽頭がん、食道癌の最新の内視鏡診断と治療について講演を」 ってことで 2015年から続くという「昌平坂Radiology」という研究会に参戦。 母校の構内の特別講堂で1時間お話ししてまいりました。 食道癌の造影検査では、大変ご高名な東海大学の放射線科 今井教授 とのダブル講演で 寒いなか、金曜日のくそ忙しい中、午後6時半からという設定にも 関わらず多くの方が駆けつけていただきました。 放射線科の先生方が「実際に臨床でどんな検査をしているのか?を知りたい」 っていうのがテーマだったので まずは私の経験から 1995年に食道外科の大元である旧第一外科に入局 その頃の教授の話やら、研修医時代、同期が虫垂炎にかかって、その時 なぜか術前に拡大内視鏡検査を受けて、病状とは全然関係ない食道正常粘膜の拡大内視鏡画像が 撮られていたこと、その研究が食道癌の拡大内視鏡診断の礎となったこと、 今はNBI BLIのおかげで誰もが簡単に診断できるようになっていること 生体内で食道の表層の異常血管をそのばで観察し、深逹度診断に応用していること 食道造影も頑張って撮影してはいるものの、昔ほど熱心にはできていないこと ESDが普及し安全性が高くなったので、今は術前診断はおろそかになり、 まずはESDで取ってみて考える的な学問が残念ながら広まっていること 下咽頭に関しては、食道の内視鏡診断がほぼ応用できること 頭頸部癌と食道癌が密接な関係があり、食道屋は同時に頭頸部の知識を持ち合わせなけばならないこと 下咽頭には死角があるので普通にただ口から内視鏡を漫然と挿入すると 見落としが必然的に起きること 最新の経鼻内視鏡を使えば、簡単に時間をかけて下咽頭の観察ができるので メリットが大きいこと バルサルバ法はもともと研修医の頃に上司が 下咽頭癌の造影検査の時に行っていたのを 覚えていて、それを内視鏡に導入したら、有効だったこと 当院では頭頸部外科と連携して治療にあたっており、ここ数年で治療件数が 爆発的に伸びたこと 治療成績は従来行われてきた放射線治療を大きく上回り、今後標準治療となるであろうこと。 という内容で1時間ちょっと。 欲を言えばもう少し時間が欲しかった、、、 しかしその次の今井教授の食道造影の写真がすごすぎて。 食道のEPがんでもきちんと撮影すれば、「ほら、ここにシミのような陰影があります」 おお〜〜〜っ 驚愕の画像が次々に出てきて う〜今こんな写真撮れる先生一握りでしょう 後の懇親会で話を伺うと 「幕内教授が手術たくさんやるでしょう、一日に5件とか6件食道造影があって それが週に3〜4日あるんですよ、それは大変でしたけどね」 「食道の手術検体を我々が撮影していましたから、そうですね夜中の2時まで働いたこともありますよ、 夜11時から病理と臨床と放射線科のディスカッションが始まったりで、、、今の若い人には 意味が分からない話でしょうね」 ヒョエ〜っ うち、ぬるすぎ〜っ やっぱりこれって情熱大陸ものでしょう。 どうしてそんなに綺麗な写真撮れるんですか? 「いやあ、まあ好きなんですよね、ははは、、」 と笑顔でお答えになり、 素敵な1日となりました。 世話人の先生には、「世界でトップレベルの仕事だよ」とお褒めいただき 少し母校に貢献できたかなと。 有難や〜
by kenzaburou41
| 2018-02-03 10:23
| 講演録
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