「訴訟にならない内視鏡診療 虎の巻」(東京医学社)
の作者、兼、消化器科のドクターと鹿児島でご一緒しまして
医療訴訟に詳しい先生。ダブル講演でございまして、
ご講演を拝聴しました。
内視鏡診療やってると様々な合併症偶発症が起きることがあり
十分説明がされていたか
適切に対応したか
などが求められる昨今。
訴訟で一番多いのが大腸内視鏡による消化管穿孔だそうです。
こちらがよかれと思ってやっても結果が伴わずに患者さんが
死に至ることも。
しかし、言葉の掛け違いやら、患者さんの家族にその思いが
十分に伝わっていなかった場合には
「訴えてやる」と不幸なことに患者さんが医者を訴える
こともしばしば。
ケン三郎のブログは
いやいや、主治医の先生もご苦労されたと思いますよ
と医者の側の言い分にもたちつつ
ご家族の誰にも話せないような不平不満を
吐き出していただく、そういう場を作っているという
意味でも少しは役にたっているのかなと。
判例
「100歳の食道癌のかた。進行癌のために食事がとれない。
経口摂取に患者さんは強い意欲があり、放射線治療は適応外。
負担が軽いであろうとステント挿入した。無事退院し
約1ヶ月後に患者さんが吐血して死亡」
医療者なら
「100歳でステントいれて1ヶ月自宅に帰れて食事がとれた
なら大往生だな」
と思うのですが、これが訴訟に発展
「100歳の超高齢者にステントを入れるべきではなかったのでは」
というのがご家族の言い分
裁判所の判断は患者遺族側の請求を棄却、病院側勝訴
その理由として当時の消化器内視鏡ガイドラインによると
嚥下障害を伴う切除不能食道癌性狭窄があり、ステントの適応あり
ガイドラインには年齢的な基準は特段示されていない
ということで、診療ガイドラインは行われた医療行為が
適切だったかどうかを決める重要な証拠となりうるそうです。
これで訴訟になるの?
って事例でもおそらくはこうなるとは予想してなかった
こんな結末になるならば
本人ともう少し話す時間がほしかった
そういう感情がどうしても生まれてしまうので
病気が原因でそうなっているのに
医者がそんなことするから不幸なことがおきたのだ
やり方に問題があったのでは?
と考えてしまうご家族のお気持ちも分からないでも無く
やっぱりよくよく起こりうる合併症
特に致死的なことが急に起きて命を落とす
リスクもある
ということは、最低限、不安にさせない程度に
前もって話しておかなければ。。