昨日は西日本でもっとも沢山の食道癌手術をされている
大先生のご講演がございまして。
タイトルも「食道癌に対する集学的治療の現況と展望~積極的手術療法からウイルス療法まで~」
ということで、たくさんの超進行食道癌の治療経験をお話しいただきました。
超進行癌ですから、「これはもうだめでしょうね」「手術は無理ですね」「緩和ケアでしょうか」
と思うところを、う~ん、こまったな、でもまだ若いし、余力もあるし、なんとかしてあげなきゃ
と作戦を練って治療を組み立てる
食道は進行すると周りに大動脈、心嚢、気管、左主気管支といった
生きていくのに重要な臓器に食い込んで、気道と交通、あるいは大出血による失血死
などの問題が起きる場合がございます。
CTみてぎょっとする、え~っ
T4というかもう・・・
さてどうするかと
恐らく最強の治療は「最強の抗がん剤」+「放射線治療」
でDCF(70/70/700)+放射線治療で
気管浸潤のある食道癌、呼吸困難で緊急入院、ICU入室、
すぐにDCFを初めて放射線治療も緊急で開始。
時に食道外瘻、胃瘻をまじえ
場合によっては食道バイパス手術をやり先にめしを食えること
を確保しつつ、ケモラジをやり、最後に治療で癌が小さくなったら
サルベージ食道切除。
大動脈への浸潤したものにステント∔CRT
そこで遺残したやつへのサルベージ手術は
ことごとく成績が悪かったそうで、今は気道系への
遺残疑いにサルベージを試みるのだそう。
手術のタイミングがやはり難しく
放射線治療でもっとも小さくなった=壊滅的な影響をうけた
けど全部癌が消えたかどうか、は画像では充分に判断できない
大きく残ったのはわかるけど。
うんと小さくなった場合は、画像で時期をおきながら
追いかけるしかない
1カ月ででかくなるやつもあるし、
実際苦労をしてとりにいったけども
癌は全部消えていた、という症例もある
しかしちょっとだけ残っててやっぱり手術してよかった
という症例もある
こういうのは手術しないよね、、から
いやいや、もしかしたら手術介入する可能性も・・・
と計画をたて
「うまくいったら手術の出番も」
と考えられるのも、ケモ、ケモラジ、手術に全部食道外科医が
関わっているからこそ
遠隔転移がすでにある食道癌は別として
局所進行食道癌、に関しては食道外科医が多いに活躍できる
場であり、積極的手術療法、大いにアグリでございます。
また治療困難だからこそ、
飯を食ってもらい、長生きできるのを実現させる
人に喜んでもらえるというやりがいもひとしお。
「この治療を実現できるのも、私だけでなく、
若い食道外科医やチームスタッフの情熱が全てです」
ということで
最後にはテロメライシンをつかったウイルス治療のお話しも
いただきまして、たくさんの食道専門家の集まる中、
盛会に終わりました。
やっぱりすごいなあ~あこがれます~
まだまだやらなきゃいかんでしょ、ケン三郎
と思って帰ってまいりました。
有難うございました!