食道癌の手術、ときに外科だけでは対応がむずかしく
他科の手を借りる事もしばしば。
「形成外科」
お世話になるのは「血管と血管を顕微鏡でつなぐ=マイクロ血管吻合」
細い動脈と細い静脈を目に見えないくらい細い糸で顕微鏡を見ながら縫い合わせる
まさに神業、というか職人芸といいますか。
こないだの気管食道科学会でも「形成外科医からみた術前に知っておきたいプロブレムリスト」
ということでご講演を拝聴。
食道外科とのコラボで注意すべき点
手術適応:侵襲、手術リスクの検討、治療の予後を知る
術前後の補助療法:放射線照射の前治療歴、あてた線量、当てた範囲、放射線が当たっている場所は血流が悪く
縫合不全が起きやすくできれば、当たってない場所でつなぐ
かつ今後放射線治療をやる予定はあるか、抗がん剤治療は必要かなど
郭清範囲と手技:頸部郭清の有無、反回神経を胸で痛めたかどうか、反回神経を温存するのか、そうでないのか
気管支動脈は温存したか(気管血流は?) 106preはどうしたか 両側の気管支動脈を温存するようにお願いする
切除範囲、病変の占拠部位:頸胸境界部食道癌では縦隔側に癌がどの程度すすんでるか、胸骨を縦切するか、
縦隔気管孔をつくるかどうか、、、皮弁、腸間膜弁、大網などで気管周囲、大血管周囲を守る必要があるか
アプローチ:右開胸、左開胸、抜去、胸腔鏡、縦隔鏡、ダビンチ、腹臥位、左側臥位、いろいろでてきた。
再建材料(遊離空腸)の鏡視下での採取には血管処理での熱に注意==気にしているようです!
再建臓器:胃管咽頭吻合では、短胃動脈とのマイクロ吻合がいるかどうか。
再建方法:胃管、空腸、結腸 それぞれ口径差、左右で吻合血管、血行付加部位がことなる
再建ルート:後縦隔、胸骨後、胸壁前ーーー胸骨後での胸部での血行付加は困難
周術期管理:食道外科医はドライサイドで管理していることがおおい。血圧低下による腸管壊死に注意。解熱鎮痛剤は慎重に
昇圧剤は血管を収縮しにくいB-stimulaterを使用する。
チーム医療として求められるもの:
術前はチーム全体で話し合い(術者同士が出来れば一緒に事前に患者さんを訪問診察)
お互いの手技を見る
術後は形成外科医も診察
不満足な結果には、いったん時間をおいてから、何が原因だったかを話し合う
なるほど~
食道外科診療は一人の名医ではなりたたず、チームとしてどう機能するか?が重要
でございます。チーム力の結集が安定した成績を作ります。