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術前と術後化学療法

こないだのyou tube講演での質問

「術前にケモやって手術やって、そのあとケモをやったらもっといいんじゃないですか?」

という質問。

いやいや、結構それ患者さんにとってはきついですよ

とお答えしましたが

ガイドラインには

わが国におけるランダム化比較試験は存在せず,1 つのランダム化比較試験は海外の報告であった。その内容は,切除可能な食道扁平上皮癌に対して,術前化学療法の後根治手術を施行,術後に補助化学療法を行う群(A 群:175 例)と行わない群(B 群:171 例)を,無再発生存期間を主要評価項目として比較したもので,5 年無再発生存率はA 群35.0%,B 群19.1%,ハザード比0.62,p 値<0.001 であった 。しかし本報告においては,術式や化学療法がわが国と異なることや術前ステージングの記載がないなどのことにより,直ちにわが国の実地臨床に適用できるものではないと考えられる。なお,欧州では腺癌を対象として,術前・術後化学療法が行われている 。

一般に,術後化学療法は有害事象の発生頻度が高いことから完遂率が低く ,現時点で術後化学療法による有益性が勝っているとは判断できない。


術後化学療法は保険診療で行える治療であるが,益と害のバランス,エビデンスの強さ,患者の希望などを勘案し,「cStageⅡ,Ⅲ胸部食道扁平上皮癌に術前補助療法+手術を行った場合,術後化学療法を行わないことを弱く推奨する

とちゃんと書いてあって。

やっぱり同じような疑問を持つ人がいるもんだなと。

ガイドライン作った先生方のご回答に同感で。


手術というところで一旦区切りができて、さあこれからこの生活になれていこう


ってときにさあ、術後抗がん剤治療やりましょう、ってなかなかすぐには始められないもの。


病気によってはたくさんリンパ節転移があって、う~ん、これは再発するリスクが

高いだろうな、と思ってみても


それなりに回復していないと、かえって治療でぐったりしてしまいます。

攻めと守り、アクセルとブレーキ、どっちもうまく使わないといかんのです。


ぽちっとな




by kenzaburou41 | 2020-06-10 20:15 | 食道癌診断治療ガイドライン | Comments(0)
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