全国のがん診療の拠点病院の8割で、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年のがん手術件数が前年より減少したことが、読売新聞の調査でわかった。減少幅が10%を超える病院も2割に上り、関係者は「コロナ禍に伴う病院側の診療制限や、感染を恐れる患者側の受診控えが影響した」とみている。
調査は4~5月、全国のがん診療連携拠点病院など計447施設に対しアンケート形式で実施。20年と19年のがん治療実績などについて尋ねた。
219施設が2年分の実績を回答した(一部は19年の代わりに18年実績を回答)。
このうち、20年のがん手術件数(内視鏡治療含む)が19年(一部18年)より減少したのは170病院(78%)に上った。減少幅が10%を超えたのは45病院(21%)。5~10%は62病院(28%)だった。
手術件数が30%以上減った病院も複数あった。300件近く減少した病院は「新型コロナ患者を受け入れたことによる病棟閉鎖や一般病床の減少が影響したと考えられる」としている。
他にも「コロナ患者の受け入れに伴い一般診療を一部制限せざるを得なかった」「感染を恐れた患者の受診控えが目立った」などを理由に挙げる病院が多かった。
回答した病院の4割が、手術やがん検診を制限した経験があり、うち1割弱が調査時点でも「制限を継続中」としていた。
20年の手術実績が6600件超と最多だった、がん研有明病院(東京)は「検査を受ける人が大きく減って、がんが進行した状態で見つかる人が増えた」との課題を挙げた。
日本癌(がん)治療学会理事長の土岐(どき)祐一郎・大阪大学病院長は、「最初の緊急事態宣言が出された昨年春頃の減少が最も大きかったと思われる。コロナ禍が長引く中、感染対策は欠かせないが、がん治療を先延ばしにすると命に関わるので、しっかり受診してほしい」と呼びかけている。
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ぽちっとな