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経口と経鼻どっち?

こないだの患者会での質問「経口内視鏡と経鼻内視鏡どっちがおススメですか?」

でございますが、経口内視鏡には拡大機能がついてる「拡大内視鏡」「超拡大内視鏡」
内視鏡しながらその病変をさらにその場で拡大視することで
粘膜の模様、血管の異常をとらえることで癌の拾い上げだけでなく
良悪性の鑑別や癌の深達度、組織型を推測するっつー内視鏡やるだけでそこまで
わかるかーって詳細な診断が可能です。さらに細胞まで見える内視鏡が今は市販
されております。大学病院や癌の専門施設ではこうした性能の高い内視鏡があり
食道癌の患者さん=精密診断が必要=拡大内視鏡で次にできるかもしれない
病気をさがそう、と考えている先生が多いと思われます。

ただし、咽頭観察においては、おえおえする方もいるので、ペチジンですこし
寝かせて観察をするなどの工夫を必要とします。
観察範囲は「中・下咽頭後壁」「喉頭」「下咽頭左右梨状陥凹」
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↑こちらが一般的な経口内視鏡による検査法でおもに観察される部位です。
NBI、BLIという画像強調法をつかうとさらに癌が発見しやすくなり
20年ほど前から一気に早期の癌がばかばか見つかるようになりました。

ただこの方法では観察しにくい場所、がございます。下咽頭の輪状後部と
その対側の後壁、食道入口部、中咽頭の前壁(舌根)といわれる部位で
ケン三郎も拡大内視鏡で検査をしている時代に食道入口部の癌を見落としていた
という経験から、「どげんかせんといかん」と考え

反射の少ない「経鼻内視鏡での咽喉頭観察法」を10年くらい前に考案しまして
さらにLCIという明るく中遠景に強い内視鏡を併用することで「近接拡大」の
やり方と違う視点から癌を見やすくする方法にたどりつきました。
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左上)経鼻といいつつ最初は「経口」から観察する「口腔ー舌ー中咽頭上、側壁、後壁」
右上)鼻からいれて内視鏡反転して「中咽頭前壁」を診る
左下)バルサルバ法をつかって咽喉頭全体を広く観察
右下)下咽頭後壁、輪状後部、食道入口部へのアプローチ

見える範囲が圧倒的に広いことがお分かりいただけると思います

ということで現在は経鼻内視鏡での咽喉頭観察法での拾い上げ
を勧めておりまして見つかった病気はあとから拡大観察で
詳細を調べるという活用法にしております。
(経鼻には拡大機能がない、のが弱点です 
拡大機能のない経口内視鏡受けるよりは全然マシ)

このLCIをつかった経鼻内視鏡観察法はまだまだ一般的ではございませんので
「完全マスター」本がこの秋発売になりました。
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ということで経口拡大でのやり方、経鼻でのやり方
それぞれ利点と欠点ございます。どちらのやり方でも
「のどもよく見てください」と先生に伝えるのが良いと思います。




by kenzaburou41 | 2022-09-18 07:48 | ケン三郎に聞く質問コーナー | Comments(0)
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