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お茶の水SCクラブ

昨日は同期の放射線治療科の教授から
うちわの会の講演を依頼されまして

「食道癌・頭頸部癌の内視鏡診断」
で持ち時間40分おしゃべりをしてまいりました。

食道専用のファイバースコープは日本になかったので
アメリカから輸入し
それを先代の教授らが協力して食道専用ファイバースコープを開発

さらにヨード染色を1973年に大阪成人病センターの先生が
食道にもちこんで、1970年代後半から食道の早期がんがちょっとづつ
みつかるようになったこと

その早期癌も1980年代は右開胸の食道亜全摘術が行われて

いやいやさすがにこれやりすぎじゃね?

ってことで内視鏡的に表面だけを取り除くEMRが普及したこと

さらにはEMRじゃおおきい病気は分割になって評価に耐えない
ってことでESDが開発されて
今はESDが世界の早期食道癌の標準治療になっていること

拡大内視鏡の分類はもともとは当院食道外科の先輩が考案して
今は日本食道学会分類の基礎になっていること

血管をみてさらに細胞まで見える内視鏡をその先輩方は
開発、市販まで発展させたこと

画像強調内視鏡のおかげでヨードを使わなくても
ボタンひとつで食道早期がんがみつけられるようになったこと

先代の教授は手術だけじゃなくて内視鏡診断や治療にも積極的に
とりくんできたので、いまもその名残で食道外科が内視鏡診断と治療を
続けていること

そんな外科はいまどこにも残っておらず、診断に熱心な外科医が
少なくなっていること

食道の診断学を咽頭の診断に応用して
世間的には拡大内視鏡と画像強調内視鏡での
検査が普及しつつあること

今まででは早期診断が難しかった頭頸部表在癌がぱかぱか
みつかるようになったこと

うちではさらに経鼻内視鏡でその拡大内視鏡では見えない
死角をカバーして頭頸科の先生たちのきっとお役に
たっているであろうこと

食道と咽頭にまたがる進行がんもあるので
おたがい協力がなにより大事であること

口腔咽喉頭の進行がんがあるかたには
きっと食道癌もあるので受診されたら
すぐに内視鏡を依頼して欲しいこと

1995年に外科に入局したとき、その教授が世界的にも有名な
食道外科医だったことを全く知らなくて
さらに食道ファイバースコープの開発に携わっていた
なんてこの講演の前まで全然しらなくて申し訳ない思いで今、いっぱいです
の反省

などなど

話していたらいつのまにか60分

発表前に練習したら30分でおわって、10分余るなあー

「今日は先生が時間を余らせてくださったので、
会場から質問の時間を」
と言われると思ってたのに

ぎゃ~、、また迷惑かけちまったぜ




by kenzaburou41 | 2023-09-23 08:26 | 講演録 | Comments(0)
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