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FLOT

切除可能な局所進行食道腺癌に対し、FLOTレジメン(5-FU、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)による周術期化学療法と手術は、化学放射線療法(CRT)のCROSSレジメン(41.4Gy照射、カルボプラチン、パクリタキセル)による術前療法と手術を行った場合に比べ全生存期間(OS)を有意に改善することが、フェーズ3試験であるESOPEC試験で明らかになった。5月31日から6月4日までシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2024)で、ドイツUniversity of BielefeldのJens Hoeppner氏らが発表した。

 Hoeppner氏は、切除可能な食道腺癌において生存を改善するには、FLOTによる周術期化学療法はCROSSによる術前療法よりも優先されるべきであるとした。

 ESOPEC試験(NCT02509286)は、cT1cN+ cM0またはcT2-4a cNany cM0の食道腺癌患者を対象に、術前療法としてCROSSと手術を行う群(CROSS群)と、FLOTの術前・術後投与と手術を行う群(FLOT群)を比較する多施設共同前向き無作為化試験。CROSSは5週間に5サイクル、FLOTは8週間に2週おきに4サイクル行い、手術を行った後、FLOT群はFLOTを8週間に2週おきに4サイクル行った。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、術後病理学的ステージ、術後合併症など。

 2016年2月から2020年4月にドイツの25施設から438人が登録し、2つの治療群(FLOT群221人、CROSS群217人)に無作為に割り付けられた。2群の患者背景はバランスがとれており、男性89.3%、年齢中央値63歳(範囲30-86歳)、cT3-4が80.5%、cN+が79.7%だった。

 観察期間中央値55カ月で、ITT集団でのOS中央値はFLOT群で66カ月(95%信頼区間:36-推定不能)、CROSS群で37カ月(95%信頼区間:28-43)であった。OSハザード比は0.70(95%信頼区間:0.53-0.92)、p=0.012だった。3年OS率はFLOT群で57.4%、CROSS群で50.7%、5年OS率はそれぞれ50.6%、38.7%であった。サブグループ解析でもFLOT群のOSは良好だった。

 術前療法が開始された患者(Per protocol集団)はFLOT群93.7%、CROSS群90.3%、術前療法が完了した患者はそれぞれ87.3%と67.7%であった。なおCROSS群で放射線療法は98%の患者で完了した。術前療法と手術を受けた患者はFLOT群86.0%、CROSS群82.9%、FLOT群で術後療法を開始した患者は63.3%、術後療法が完了した患者は52.5%だった。

 Per protocol集団でのOSハザード比は0.72(95%信頼区間:0.54-0.96)、p=0.023だった。3年OS率はFLOT群で58.1%、CROSS群で52.6%、5年OS率はそれぞれ51.8%、40.5%であった。

 ITT集団でのPFSは、中央値がFLOT群で38カ月、CROSS群で16カ月、ハザード比は0.66(95%信頼区間:0.51-0.85)、p=0.001だった。3年PFS率はFLOT群で51.6%、CROSS群で35.0%、5年PFS率はそれぞれ44.4%、30.9%であった。

 手術は371人(FLOT群191人、CROSS群180人)に行われた。R0切除はFLOT群で94.2%、CROSS群で95.0%、病理学的完全奏効(ypT0 ypN0)はFLOT群で16.8%、CROSS群で10.0%だった。術後合併症は2群で大きな違いはなく、術後30日の死亡率はFLOT群1.0%、CROSS群1.7%であった。

by kenzaburou41 | 2024-09-27 23:20 | 食道胃接合部癌 | Comments(0)
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