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口腔内細菌は食道がんのリスクファクターである

歯がない人は食道癌になりやすいに続いて
「口腔内が汚い人も食道癌になりやすい」 
Kawasaki M, et al.
Cancer 2021;127:512-519

食道がんはがんの死因のなかでも6番目に多く、また発症数では世界で7番目に多いがんです。早期診断が困難であり、浸潤や転移の頻度が高く、生存率が低いことが食道がんの特徴です。一方、歯周病は歯茎の炎症や出血から始まり、歯を支える骨や線維など深い組織に炎症が広がり、最終的には歯が喪失してしまう、日本でもとても高い罹患率の口腔内細菌感染症です。歯周病は糖尿病や動脈硬化などを含む全身疾患の悪化に関与していると言われています。がんにおいても歯周病がリスクを増加させる可能性があると報告されてきました。

これまでいくつかの研究により、口腔内に存在する細菌や歯周病に関わる細菌が消化管のがん組織から検出されたことが報告されています。食道や胃のがん組織において口腔内の膿瘍で良く検出されるストレプトコッカス アンギノーサス菌※1が発見されたことで、消化管がんと細菌の関連がより注目を集めるようになりました。食道がん細胞をストレプトコッカス アンギノーサス菌に感染させると、発がんが促進することが知られています。これらの知見に基づいて、口腔内細菌と食道がんの関連が示唆されてきましたが、食道がんと歯周病、それぞれの臨床所見に基づいて、口腔内細菌のがんへの影響を検討した研究はこれまでほとんどありませんでした。

本研究では、食道がん患者における口腔内所見と口腔内細菌叢の特徴を明らかにすることを1 目的としました。

【研究成果の概要】 東京医科歯科大学医学部附属病院消化管外科に入院した食道がんと診断された患者61名と非がんの患者62名の口腔内の診察を行い、唾液と歯茎の下の歯垢を採取しました。採取したサンプルから細菌のDNAを抽出し、リアルタイムPCR法※2を用いて7種類の口腔細菌の菌数を計測しました。 食道がんの患者では非がんの患者と比較すると、歯周病の状態が有意に悪く、喫煙率や飲酒習慣が高いことがわかりました(表1)。

歯茎の下の歯垢中には歯周病に関わる多くの細菌が有意に高く検出されました。なかでもアグリゲイティ バクター アクチノミセテムコミタンス菌※4はがん患者で15% 表1 16人検出されたのに対し、非がん患者ではわずか1名しか検出されませんでした(図1)。 唾液では、アグリゲイティバクター アクチノミセテムコミタンス菌の検出率ががん患者で有意に高く、アグリゲイティバクター アクチノミセテムコミタンス菌とストレプトコッカス アンギノーサス菌の量ががん患者で有意に多く検出されました。 得られた結果から食道がんのリスクとなる因子を見つけるため、ロジスティック回帰分析※5を用いて統計学的に解析を行いました。結果、飲酒習慣で 17.10 倍、歯垢中のストレプトコッカス アンギノーサス菌の検出で 32.80倍、唾液中のアグリゲイティバクター アクチノミセテムコミタンス菌の検出で5.77倍、食道がんの患者が増加するという結果が得られました。(表2)

Fusobacterium nucleatum や Porphyromonas gingivalis などの口腔細菌が食道がん組織に定着し、
予後不良と関連する可能性がある。
これらの菌は口腔から消化管へ移行し、局所的な炎症や免疫応答を介してがんの進行に関与する。


↑うちの大学の研究 2020年にCancerに掲載とのこと。

口腔内細菌がやっぱり悪さしてるんやな


by kenzaburou41 | 2025-09-09 17:27 | 食道癌になりやすい人 | Comments(0)
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