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バレット食道1cm未満はどうするか?

今日の読み物
Iijima K. Epidemiology of Barrett’s Neoplasia in Japan
Digestion 2026;107:5-14


日本では、欧米より約50年遅れて2000〜2010年頃から食道腺癌(EAC)が増加し始めたが、年齢調整罹患率(ASR)で評価すると、2010年時点の症例数は欧米の約10分の1〜20分の1にとどまっていた。今後、日本でもEACは数十年にわたり増加すると予測されているが、その増加の程度を把握するためには継続的なモニタリングが不可欠である。
日本では公衆衛生への長年の取り組みの一環として、50歳以上の全ての人を対象に2年に1回の胃がん内視鏡検診が実施されており、これは食道癌の早期発見にも寄与している。しかし、H. pylori感染率の低下に伴う胃がんの急速な減少により、今後は胃がん検診の簡素化が見込まれている。そのため、EACの早期発見を目的とした独自の内視鏡スクリーニング体制の構築が必要となる。この目的を達成するためには、EACの正確なASRと、バレット食道の長さごとの癌リスクを十分に理解することが求められる。
日本の定義では、食道下端に存在する円柱上皮がどの程度の長さであってもBEと診断できる。しかし、日本の内視鏡医を対象とした最近のアンケート調査では、この定義に従っているのは約半数(53%)にとどまり、37%は1 cm以上の場合にのみBEと診断していた。1 cm未満のBEが過少診断される理由としては、患者数が多すぎること、癌リスクが極めて低いこと、正常範囲とみなされること、患者に不要な不安を与えないためといった点が挙げられている。EACの前癌病変としてのBEの重要性を医師や患者に正しく伝えるためには、多くの内視鏡医が支持するBEの定義を確立することが望ましい。
現在の日本では、BEの診断の有無にかかわらず2年に1回の胃がん検診が自動的に推奨されており、BE診断がその後の患者管理に影響を与えることはなかった。しかし将来的には、BEの内視鏡診断が患者ごとのサーベイランスの必要性や間隔を決定する重要な要素となるため、その診断の意義はより大きくなる。

このような状況において、BEのEACリスクがその長さによって大きく異なることから、わが国におけるBEのサーベイランスの要否や観察間隔は、海外のガイドラインと同様に、BEの長さに基づいて定義されるべきである。まず、超短節状BE(USSBE)は一般的に認められる所見であるが、EACリスクは極めて低く、単独ではサーベイランスの対象としないことが妥当である。

一方、長節状BE(LSBE)におけるEACの年間発生率1.01%は、日本人における内視鏡的開放型萎縮を有する患者の胃がん発生率(0.31–0.53%/年)よりもはるかに高い。そのため、現在の2年ごとの胃がん検診よりも頻回(例:年1回)のサーベイランスが望ましい可能性があり、2 cmを超えるBEについてもそのEAC発生率を踏まえると、1〜2年ごとのサーベイランスが適切と考えられる。また、残存する短節状BEやその他のリスク因子を併せて考慮した場合、3〜5年ごとのサーベイランスが妥当かどうかについては、さらなる研究が必要である。


なるほどー




by kenzaburou41 | 2026-01-03 09:08 | バレット食道 | Comments(0)
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