カテゴリ:手術の合併症の話( 42 )

反回神経刺激装置

手術合併症で頻度の高い反回神経麻痺

術後のかすれ声

患者さんにとってはかなりのストレスですが

食道がんが最も転移しやすいリンパ節が反回神経周囲リンパ節。

その神経を痛めないでリンパ節だけをとってくるという作業

最も食道外科医が気を使う場所であります。

近年、神経刺激装置を使って麻痺が起きているかを確認しながら手術を
進めるという機械が開発され

ケン三郎も使って見ました〜

なるほど、これは術中の麻痺の有無を調べるのに
ちょうどいい

神経がわかりにくく、どの辺にあるかのあたりをつけるのにも
いいですし

あれがないと手術できん

という人もいるくらい。


手術の合併症を減らす工夫

日々進化





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by kenzaburou41 | 2018-05-15 23:58 | 手術の合併症の話 | Comments(0)

麻痺起きず。

術後一日目。

その日のうちに抜管する施設もあるけど
抜管して厄介なのは両側反回神経麻痺

手術終わってクタクタになって帰ってきて

いざ抜管したら両側麻痺

げげっ、また再挿管??

とバタバタするのがいやで

翌日抜管。

朝から循環動態、呼吸落ち着いている、鎮静切っていざ抜管前に
内視鏡やって。

胃かんの色調、ねじれはないか、吻合部の状態、声帯の浮腫、栄養ろうの位置は良いか

色々情報をえて抜管する。

さあ声が出ますように

「わかりますか」

「はい」

おおっ〜〜ちゃんと声出たあ〜 一安心じゃっ。

という事で麻痺がなければしっかり声が出るし

片方麻痺なら、かすれ声

両方麻痺だとかなり聞き取りにくい声になります。

歌手や声優、アナウンサーに教師、医師
と声を売りにする方が手術をする場合は特に気を使います。

術後の合併症の1つである「かすれ声」
食道癌手術には切っても切れない厄介な合併症の一つですが

リンパ節をしっかりと郭清するにはある程度、神経のそばを
剥離してくる必要あり。

引っ張ったりしないでなるべく愛護的に扱い

神経のそばでは電気を使わない

最近は神経刺激装置の導入

などなど

先人の工夫が受け継げられています。










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by kenzaburou41 | 2018-04-04 20:44 | 手術の合併症の話 | Comments(0)

麻痺が起きないか?

術直後に抜管するか、オーバーナイト挿管するか?

世の中、当日抜管の流れではありますが

オーナーナイト挿管すると

安定的に呼吸管理ができる

抜管した後の患者さんの状態の変化をそれほど分単位に
見なくてもいい

長時間手術後の医師の負担軽減

と言いますか、

手術の疲れを癒す時間ってのも医師には必要でございます。

今日の手術はうまく行った

こういうところが厳しかった

こうすればよかった

色々反省点もございます。

一日目きにするのは「反回神経の麻痺あるか」

でございます。患者さんが目を覚ましてしっかり声が出ているか、
かすれてないか。

リンパ節をしっかりお掃除して、しかも反回神経にダメージが
ない

これが理想でございます。


今日は絶対麻痺してない、かけてもいいです、

と自信満々の外科医。

明日、起きて挿管チューブを抜いて声帯が動いているか?

気にしながら翌朝を迎えます。

うまくいってますように





















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by kenzaburou41 | 2018-04-03 23:47 | 手術の合併症の話 | Comments(0)

術後の逆流

昔は食道癌で手術をすると半分くらいの方が手術で命をおとす時代があり。

「まずは安全に生きて退院する事」が目標だったわけで

手術が安定してくると、

あんまり大きな傷でなくても手術できるんじゃね?

とカメラを使った手術が普及し

そのうちロボットをつかった手術へと

時代はどんどん進化いていき。

そのうちボタン一つおせば、手術から術後管理から退院まですべてロボットがやってくれて

医者は家でTVみながら、カルテを閲覧、触診まで遠隔でできる時代が、、、

遠い先にはそうなってるかも

しかしながら、そんな予算どっからでる、でるわけないだろ

目で見て触って確認し元気に帰っていく様をほほえましくおもいつつ
次の患者にまたいい治療を提供する

このトライ&エラーの繰り返し。

「手術で合併症は稀で、ほとんど死なない」が実現できたら

次は生活の質をあげるには?

で。いろいろな術式を提案施設がちらほら。

胃を温存して回結腸で再建という術式、、、(吻合3か所)
手術は時間がかかって大変そうだけど、胃がのこるんで
結構食える、かつ消化液の逆流が抑えられてのどのイガイガ感が抑えられる

胃管を作るが、十二指腸は閉鎖して、食道ー胃管ー空腸ーと空腸を胃管の下部につないで
ルート変更を行うという術式(吻合3か所))

これも残食道のいや~な酸っぱいのを上がってくる不快感

を解消できるってことでトライしている施設もあります。

いやあ、、まずは安全に手術を、、生活の質向上はまたその先でしょ、
と思いますけども、

患者さんの訴えに寄り添って、面倒だけどやってみよう

という挑戦、すばらしいっ。





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by kenzaburou41 | 2017-12-20 16:25 | 手術の合併症の話 | Comments(0)

縦隔鏡手術時の反回神経麻痺

縦隔鏡手術、いまや開胸しなくて食道の手術ができるってんで

トピックとなってる手術

頸から縦隔を上から攻めていく

入り口がせまいところから、なが~い鉗子を使って奥を剥離していくもんだから

反回神経麻痺、どこでおきるか?

神経を剥離しているとき

で起きるのもありだけど

奥を操作しているときに、入り口で神経を気づかないうちに痛めていることがあるとか。

テープで牽引するくらいではおきなくて

視野にはいってこない場所での神経障害。

そうかあ、、、

学会勉強なるっ




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by kenzaburou41 | 2017-10-14 22:42 | 手術の合併症の話 | Comments(0)

Eso-SPONGE

OESOでみた縫合不全にたいする、スポンジ吸引

BRAUNという会社の Eso-SPONGE
という名前の道具です

動画はこちらから

文献
Ann Thorac Surg 2014;97:1029-35  Heits N et al.

World J Gastrointest Endosc 2013;16:340-5 Lenzen H et al.

Endoluminal Vacuum therapy

というらしい。

あんまりお世話になりたくないけど。。。

ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2017-09-21 20:14 | 手術の合併症の話 | Comments(1)

胸腔内吻合と頸部吻合

お便り有難うございます。

少ないとはいえ、食道癌術後の縫合不全は起きた方には大変なご苦労が
あると思います。

再建臓器を挙上するルートには
「胸骨の後ろ」「皮膚の下」「胸の中」と主に3つの
ルートがございます

また繋ぐ高さも首か、胸の中かと主に2つ。

下部食道、腹部食道の病気であれば
首や胸の上の方のリンパ節をとる必要が少なく、
「胸の中」で繋ぐことが一般的となり、
一度縫合不全が起きると、致命的になる場合も
少なくありません。

穴が空いたのだから、もう一度縫えばいい
っていうほど簡単なものでもなく

穴が空いたところは炎症で、縫っても
きれいにくっつかないのが一般的

ドレーンを急いで入れて対応するか
本学会でも発表されていたスポンジ
吸引などが新しい方法。

吸引、ドレナージが外科手術合併症の基本

時間をかけて自然に治るのを待つか。

3ヶ月、半年、、

それでも治らない難治性の方は

呼吸器外科、形成外科のお力をお借りする

いつ食べられるようになるのか、
本人ご家族の不安なお気持ち

食道癌を治したくて手術をして
うまくいかない時は、すごくこちらも心苦しくて
切ないですが

少しでも合併症を減らせますよう










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by kenzaburou41 | 2017-09-07 19:00 | 手術の合併症の話 | Comments(1)

縫合不全

消化器外科学会に行ってきて
色々食道外科の先生の発表を聞いてきた。

気になったのは縫合不全率が施設によって
まちまちで

30%台ってとこもあれば

10−15%ってとこもあるし

ほぼ0ってとこもある

え、あの名医のいる施設が
なんでそんなにもれるの??

何が違うのか

そりゃあ胃管の作り方でしょう

細い胃管にすれば、距離は長くなるけど胃の壁内血流が切れちゃう

太い胃管にすれば、胃の壁内血流は使えるけど距離が短くなっちゃう

それを改善するには?

前庭部側は丸〜くカーブを描くように細く切って

上の方はなるべく胃の壁内血流を残すように太くしていき

先の方でカフを作ってさらに距離を稼ぎ

自動吻合器はカフから挿入する

それでがっちゃんと吻合し

盲端は2横指くらい開けて閉じる。

そうするとリーク率0.4%

ほとんどもれない。


ICG蛍光法やらサーモメーターなど
血流を測る機械が開発されてさらに
もれない工夫はされてるものの

胃管の作り方の基本を知らないとイかんです。






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by kenzaburou41 | 2017-07-21 23:46 | 手術の合併症の話 | Comments(0)

術後1日目の内視鏡

昔は術後7日目に造影検査して、リークないことを確認して食事開始
だったけども

今は術後早期に内視鏡で胃管の色調みて考える

色が悪ければ慎重に見るし

よければパス通り

そもそも、リーク自体がほとんどないのがウリではあるものの。


危ない症例は未然にチェック



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by kenzaburou41 | 2017-06-18 23:41 | 手術の合併症の話 | Comments(0)

ハイボリュームセンター

手術件数が少ない病院で食道がん手術を受けた患者の死亡率は、件数が多い病院で受けたケースに比べ2倍以上高いことが、日本食道学会研究班の全国調査でわかった。

 病院の診療チームの経験の差が影響したものとみられる。

 食道がんの手術は、近接する肺や心臓など重要な臓器を傷つけないように行う必要があり、難度が高い。体に大きな負担がかかり、手術後に呼吸に支障が出るなどの合併症も多い。

 調査は、国内のほぼ全ての外科手術が登録される大規模データベースから、2011~13年に行われた食道がん手術を抽出。約1000病院で行われた約1万6600件の手術を対象に分析したところ、手術後90日以内に死亡した患者の割合(死亡率)の全国平均は3・0%だった。

 病院の手術件数で見ると、年間30件以上の病院で行われた手術計約6100件の平均死亡率は1・8%だったが、5件未満の病院の手術計約3000件では平均4・7%と2・6倍の格差があった。

 死亡率は、手術件数が多い病院で行われるほど低くなる傾向がみられた。一方、調査期間に限ると、執刀医の手術件数による死亡率の差は見られなかった。

 調査に当たった岡部寛・大津市民病院外科診療部長は「手術技術のみならず、看護師など病院スタッフによる手術前後の患者ケアの熟練度が反映された結果と考えられる。手術を検討する患者は病院に治療実績を聞いたほうがいい」と話す。


「失礼ですけど先生は手術何件くらいされてますか?」

「先生は食道外科専門医をお持ちですか?」

ひや〜っ。 この上から目線の質問が世間に広まるかと思うと

心苦しい。。。。

ますますハイボリュームセンターに患者さんが集約化してしまう、、、

ぽちっとな


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by kenzaburou41 | 2017-03-16 22:46 | 手術の合併症の話 | Comments(0)