カテゴリ:手術の合併症の話( 39 )

何もしないとどうなるか?

食道癌がみつかって何もしないと
どうなるか?

癌が進行して食事がとおらなくなり
いずれは死をむかえますが、
ある程度、時間的な余裕が
ありますので

「手術しないほうが
長生きしたであろう」ということ
が起こりえます。

手術をしない方法でどんな方法が
あるかというと、ステントという筒を
入れる方法

これが一番簡便で,治療時間もすくなくて
すみますが、癌を治す治療ではないので
最初からこの治療を希望される方は
少ないです。

治ることをめざすと現在、もっとも
信頼性の高い治療が
抗がん剤+手術

その次に抗がん剤+放射線治療
ということになります

いずれも、癌を治す強力な治療ですが
自分の体にも負担がかかる治療ですので
全く元通りの健康な体を取り戻す治療
ではありません

放射線治療、手術、抗がん剤

この3つをうまく組み合わせて
体の負担を最小限に治療を
組み立てる事が求められています

これまでの治療成績の比較から

以前より放射線治療が選択される
ことが少なくなっているかもしれません

外科医は最新の注意をはらって
手術の侵襲を減らす努力を
怠ってはならない状況ですし

ある特定の施設に多数の患者が
殺到すれば、その施設の扱える
限界を超えて,目がいきとどかなく
なる可能性もあります

ある特定の施設だけでなく
その周りにも同じような医療
レベルの治療ができる病院を
いくつか、というのが理想ですが

食道癌自体がそう多い病気ではないので

診断から治療、術後管理まで
すべてが充実した環境つくり、

それには病院内のいろんな
専門家を結集して治療にあたる
必要があります


でもやっぱり手術が
うまくいってこその
術後管理

期待にこたえねば。

ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2012-12-09 13:53 | 手術の合併症の話 | Comments(0)

前を向く

合併症で患者さんがなくなると
ほんとに悲しい

うまくいくと信じて手術したのに

縫合不全、膿胸、MRSA肺炎、腸炎、胃管壊死、そしてARDS

起こしたくない合併症ととなりあわせ

ずいぶん昔よりは安全にできるように
なった食道の手術も

完全に死亡率を0にはできない

食道癌に たちむかった医師も患者さんもスタッフも
みんな頑張って一つの目標にむかっていたわけだし

外科医がここで、気落ちして、手術はやっぱり控えようとか

自信をうしなったり、周りからの目に耐えられなくなって
しまって病院をやめるとか、、

受けてきたであろうプレッシャーを考えると

いつか我々外科医、自分の身にもふりかかる
ことかもしれません。

これまでたくさんの人を救ってきたのだから

前を向いてがんばりましょう

ここでくじけず

明日のさらにいい医療をめざして。


ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2012-12-07 13:15 | 手術の合併症の話 | Comments(0)

ARDS

来春こけら落としする歌舞伎座の舞台を踏むことなく57歳で旅立った歌舞伎役者、中村勘三郎さん。今年7月には食道がんの大手術を乗り越え、約4カ月にわたる壮絶な入院生活を送った。命を奪った急性呼吸窮迫(きゅうはく)症候群(ARDS)は現代医療でも退治できない“大悪党”だった。

 最後の舞台となった7月の「信州・まつもと大歌舞伎 天日坊」を演出した串田和美氏は、「お見舞いに行った時は、もう話ができない状態でした。今まで何度も奇跡を起こしてきた人だから、また奇跡が起きると信じる気持ちと覚悟する気持ちとの間で揺れ動いていました」とコメントした。

 7月27日に12時間に及ぶ食道がんの大手術を乗り越え、一度は病院内を歩けるほどに回復。再発予防のため抗がん剤治療を受けていたが、11月に肺炎を発症し、急速に呼吸不全に陥った。

 専門の治療を受けるために、二度も病院を転院しているが、家族は「考え得る最高の治療をしていただきました」としている。

 この急激な悪化こそARDSの特徴だ。杏林大学医学部付属病院呼吸器・甲状腺外科の呉屋朝幸教授が説明する。

 「原因はいろいろあるが、ARDSでは肺の酸素交換ができなくなり、人工呼吸器の補助があっても呼吸ができない状態になります。最終的には全部の肺機能が破壊され悪くなるときには1日でも急速に悪化します。ご本人も医療従事者も、どうしてこんなに急激に悪くなるのか理解できないほど症状が進行することがあるのです」

 勘三郎さんは、最終的に日本医科大学付属病院で治療を受けていた。経験豊富な医師も、肺の状態が悪化しそうになるのは予測可能だが、ARDSの治療そのものは難しいという。

 関係者によると、勘三郎さんの病室には人工呼吸器と人工肺が設置され、さまざまな管が体を貫いていた。

 「人工呼吸器は、気管にチューブを入れて、機械から酸素を肺に送り込みます。病院ではどこでも使用されている方法です。しかし、人工肺は、人工心肺装置のように、体外に血液を取り出して酸素をつけて体内に戻し、肺を全く使うことはありません。極めて特殊な場合に使用され、一時的に肺の機能の負担を軽減するか、あるいは、肺の機能がすでに低下した場合が想定されます」(呉屋教授)

 ARDSには治療薬があるにはあるが、急激に悪化する症状を食い止めることは容易ではない。

 ARDSの引き金となったのは、食道がんとみられている。

 「一般的にARDS発症の基盤になるのは肺炎で、食道がんの場合は放射線治療や抗がん剤治療の後です。炎症などで肺の酸素交換機能が低下し、結果として症状が悪化してしまう。まるで、肺の中で大規模破壊が起こるように、食い止めることは難しい」と呉屋教授はいう。

 勘三郎さんは当初、息子の勘九郎(31)と七之助(29)が出演する京都・南座公演に駆けつけることを励みとし、それが無理なら来年2月の博多座公演へ、と思いをつないできた。

 好江夫人がマスコミを通じて明かした経過報告には「来年4月の歌舞伎座柿(こけら)落としに出演することを、心の拠り所とし、癌晴って参りました」と綴られていた。「癌」が「晴れる」日を願って、正面から立ち向かい力尽きた。
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by kenzaburou41 | 2012-12-07 07:33 | 手術の合併症の話 | Comments(0)

規模

患者さん、ご家族とも

「手術」と聞くと「怖い」「痛い」「死ぬかもしれない」
と悪いことも考えてしまいますが

今までの状況をうまくいけば一気に解決できるかもしれない、
といういい点ももちろんあります


手術にも規模があり。

1)放射線治療後のサルベージ手術

2)右開胸開腹食道亜全摘

3)鏡視下食道切除


4)左開胸開腹下部食道切除

5)胃全摘術

6)食道バイパス術

いずれも、食事がとれなかった人をとれるようにするという目的に

どのレベルまで癌を体外に摘出するか?
で手術の規模も違います。


このうち1~3)は別格の手術であり


「急いで手術をしたほうがいい」といわれてきた患者さんもご
家族も「早く、とにかく早くやってくれ」といいますけど

「早く危険にさらされる」可能性もあるわけで


合併症によっては命を落とすこともある手術です、
「もし万が一、」のこともよく話し合っておく必要もあります。

一方で気管のまわりをいじらない、4)5)6)
は1~3)の手術に比べるとリスクは半分くらいに
なる

とはいえ、手術はなにが起きるかわからない、予期しない大出血も
あれば、よっぽど注意をしていても、合併症がつきものです

しかし、手術=全部危ない、というわけではなく


そうでなければ病棟に患者があふれて、ベッドが埋まるわけで

なんやかんやいいながら、ほとんどの患者さんは
元気に退院します



一歩踏み出す勇気と


手術をしない場合のメリット、デメリット。


みんなでサポートです。
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by kenzaburou41 | 2012-10-17 21:46 | 手術の合併症の話 | Comments(0)

症例数が多いほど

食道癌の手術

極めて高度な技術を要するので

症例を集約化しようという動きもあり


「たくさん手術している施設のほうが少数しかやってない施設
よりも成績がよい」


ということが示されて


中には年間100件を超える手術をこなすところも。。


100件つーことは週2件は確実にやる、
時には3件もあるかも



すべてがすんなりいけばいいけど


食道癌の術後


ひとたび、合併症を起こせば、懇切丁寧に
診ていかないと致死的な状態にもなりうる



患者さんやご家族は

「うまく行って当たり前」


死亡率2%

と聞いても、まさかうちがその2%にあたるわけない


と思っているだろうし


「うまくいくはず」とおもって手術をしているのに

「うまくいかない」ときの外科医の心情となると


心が折れる時もしばしば。。。



がんばってるのに、、、、何とか好転しないものか。



難しい症例にチャレンジすれば、その分、リスクも背負う



心が折れそうな時~っ


全国の仲間ががんばっているのを見てまた、がんばろうと。
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by kenzaburou41 | 2012-10-06 00:44 | 手術の合併症の話 | Comments(1)

胃管壊死判明時期

せっかくつないだ胃や腸が腐る

その時期ですが、術直後に判明するわけでなく

あんまりたくさん経験があるわけではないですけど
術後3~7日の間ではないでしょうか

ごはんが食べられて退院してから起きることは
ありません。

術中の出血や長時間手術は体の負担が大きくなる
とともに、

水分バランスも崩れ、血圧が下がり、胃への血流が
悪くなり

順調そうに見えていたのに,あるとき急に、理由が分からない
状態の悪化、発熱、頻脈、

「何か起こっているけど,なにか分からない」

原因がよく分からないけど、状態がおかしい

というのが最も怖い状態です。


調べるには、内視鏡で胃管の色調を直接確認する

CTで胃壁の厚み、造影剤を入れて造影効果があるかどうか?

などが参考になります。

ケン三郎が経験した方は術後1週間経ってから
胃管壊死がおき、胃管と気管が交通

これほどしんどい合併症はありません。。

二度とあのつらい思いを本人にも家族にも
させたくない

壊死した胃管を早く切除していれば治せただろうか

そのタイミングはどの時点だったのだろうか

苦い経験を心の奥に止めながら

外科医は前を向いて。


ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2012-09-20 21:14 | 手術の合併症の話 | Comments(3)

MMカンファ

外科が「食道、胃、大腸、肝胆膵,乳腺、血管」
と専門分野で分かれて、今は各診療科ごとに
問題を解決してるのですが

昔、週に一度、その病棟で術後もしくは
再発やらなにやらで状態の悪い人、
もしくは亡くなった患者さん

その問題が何か?

ってのを突き詰める
「mortalityand Morbidity カンファレンス」
てのがあって

病棟医長がそれを前もって調べて、
週に2人か3人が対象になる

術後管理で忙しい上にその
カンファレンスの準備もしなきゃ
いけないっていう、、会がありまして。

「術後管理だけでも大変なのに〜
ってかなり不評だった、MMカンファ」

2000年頃の記録がでてまいりました。

2月4日 食道癌術後発熱 右腎梗塞

3月10日 食道癌術後肝硬変 腹水多量
MRSA腸炎,腎障害

食道癌術後肺炎(MRSA肺炎疑い)

3月24日 食道癌、化学放射線療法,肺転移、
呼吸障害

3月31日 食道癌術後、肝硬変、食道ろう、小腸による
再建、MRSA腎症、血液透析

4月28日 食道癌術後、胃管肺ろう、肺炎、気管開窓術、ステント留置

5月12日 食道癌呼吸困難で緊急入院、気管ステント留置、敗血症

6月2日 食道癌術後頸部リンパ節転移、反回神経麻痺、放射線治療、呼吸困難、食道気管ろう、気道出血

6月9日食道癌,気管浸潤、気管ステント留置、肺膿瘍

、、、



毎月毎月、術後の肺炎や縫合不全で苦労している例や、
再発していろいろ対応したけど
治療が難しくなって、、、と

その話を、それほど術後管理が大変でない
他の専門の外科医の前で話しなきゃいけない。


「食道は大変だねえ」

といわれながらも、でも食道癌の
患者さんと向き合ってる食道外科医。

あの頃もきつかったけども
今もやっぱりちょっと油断すると
状態が悪化する。

丁寧な術後管理が必要で

全国の食道外科医
みんな頑張ってます。


ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2012-09-02 11:29 | 手術の合併症の話 | Comments(0)

縫合不全の対処法

嚥下の圧力は相当高いもので
縫合した部分に完全に圧がかからないようにする

というのはたしかに難しいです

圧がかかりにくくする方法の1つとして

本来の吻合部に狭窄がある場合はこれを
拡張していたほうが
、こちらのルートに食事が
流れやすいので、縫合不全が治りやすくなると
おもいます。

(ただ医師としてはせっかく閉じてきた傷を拡げるかも
しれない、ということでちゅうちょするかもしれません)

穴があいている部分と皮膚にできた穴の道=ろう孔(ろうこう)
がある程度距離があれば、自然とふさがる可能性はありますが
距離が短いとなかなか閉じないと思います。


参考になったでしょうか?
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by kenzaburou41 | 2012-08-20 08:12 | 手術の合併症の話 | Comments(2)

肺炎

食道癌の手術合併症で
もっとも頻度の多いのが肺炎で

元々食道癌になりやすい人が
お酒,タバコの相乗効果と言われていて

食道の手術前,少なくとも1ヶ月
前には禁煙をする必要がありますが

入院して「昨日まで吸ってきました、
今日から禁煙です」

とか

さらにタバコを入院時に持ち込んで
来るとなると

我々医療者がせっかく、サポートしようと
頑張ってても水の泡

しかし、禁煙が守れない患者さんは
術後1週間、ものすごく苦しい思いを
する、と覚悟していたほうがいいと思います。

大きく深呼吸できない、

喉の辺りでゴロゴロ言っているけど
痰を吐き出せない

「まるで水中でもがいているかの
ように苦しかった」

とおっしゃいます。

どうしても痰が取れない場合は
のどの小さな穴をあけて痰をとる
管を挿入します

それでも肺炎が悪化する場合は
人工呼吸器を再装着、

重い肺炎との戦いが長引き、
長期ベッド上の生活になり
そうとう体力も衰えます。

「食道癌」
見つかった時点で、手術をしようと
思ったら


まずは禁煙が大事です。

あなたをみんなで見守っています

どうぞ勇気をもって立ち向かいましょう


ぽちっとな
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by kenzaburou41 | 2012-08-16 00:10 | 手術の合併症の話 | Comments(1)