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カテゴリ:手術メモ( 20 )

形成外科とのコラボ

食道癌の手術、ときに外科だけでは対応がむずかしく
他科の手を借りる事もしばしば。

「形成外科」

お世話になるのは「血管と血管を顕微鏡でつなぐ=マイクロ血管吻合」
細い動脈と細い静脈を目に見えないくらい細い糸で顕微鏡を見ながら縫い合わせる
まさに神業、というか職人芸といいますか。

こないだの気管食道科学会でも「形成外科医からみた術前に知っておきたいプロブレムリスト」
ということでご講演を拝聴。

食道外科とのコラボで注意すべき点

手術適応:侵襲、手術リスクの検討、治療の予後を知る

術前後の補助療法:放射線照射の前治療歴、あてた線量、当てた範囲、放射線が当たっている場所は血流が悪く
縫合不全が起きやすくできれば、当たってない場所でつなぐ

かつ今後放射線治療をやる予定はあるか、抗がん剤治療は必要かなど

郭清範囲と手技:頸部郭清の有無、反回神経を胸で痛めたかどうか、反回神経を温存するのか、そうでないのか
気管支動脈は温存したか(気管血流は?) 106preはどうしたか 両側の気管支動脈を温存するようにお願いする

切除範囲、病変の占拠部位:頸胸境界部食道癌では縦隔側に癌がどの程度すすんでるか、胸骨を縦切するか、
縦隔気管孔をつくるかどうか、、、皮弁、腸間膜弁、大網などで気管周囲、大血管周囲を守る必要があるか

アプローチ:右開胸、左開胸、抜去、胸腔鏡、縦隔鏡、ダビンチ、腹臥位、左側臥位、いろいろでてきた。

再建材料(遊離空腸)の鏡視下での採取には血管処理での熱に注意==気にしているようです!

再建臓器:胃管咽頭吻合では、短胃動脈とのマイクロ吻合がいるかどうか。

再建方法:胃管、空腸、結腸  それぞれ口径差、左右で吻合血管、血行付加部位がことなる

再建ルート:後縦隔、胸骨後、胸壁前ーーー胸骨後での胸部での血行付加は困難

周術期管理:食道外科医はドライサイドで管理していることがおおい。血圧低下による腸管壊死に注意。解熱鎮痛剤は慎重に
      昇圧剤は血管を収縮しにくいB-stimulaterを使用する。


チーム医療として求められるもの:
術前はチーム全体で話し合い(術者同士が出来れば一緒に事前に患者さんを訪問診察)
お互いの手技を見る
術後は形成外科医も診察

不満足な結果には、いったん時間をおいてから、何が原因だったかを話し合う


なるほど~

食道外科診療は一人の名医ではなりたたず、チームとしてどう機能するか?が重要
でございます。チーム力の結集が安定した成績を作ります。






by kenzaburou41 | 2019-03-10 23:09 | 手術メモ | Comments(0)

頸部食道切除

頸部食道切除術は

頸部食道に限局した癌の手術で頸部食道をとってお腹から空腸を一部とりだし
その腸と咽頭、食道をそれぞれつなぎ
静脈、動脈を顕微鏡をみながら細い糸で縫い合わせる手術。

声をのこさずに咽頭、喉頭、食道の一部を全部とって腸でつなぐ手術より

反回神経をのこさないといけないので、手術の気配り度合いは
全部取っちゃう手術よりもおおきい

にもかかわらず、保険点数は全部とるほうが高い。

おかしくね?

声を残す手術の方が安くて
声をとっちゃう手術の方がお金がたかい

逆っすよ、残す方がむずかしいし、患者さんにもメリット大きいのだから


つーわけで頸部食道手術の保険点数の向上に一票。





by kenzaburou41 | 2018-11-29 23:23 | 手術メモ | Comments(0)

縦隔鏡手術研究会

今日は近隣の3施設合同の縦隔鏡研究会

ダビンチ使わなくてもここまで中下縦隔の郭清ができるって
いう手技を動画でじっくり拝見しました。

昔はお腹から長い鉗子や電気メスの長いの
細い腸ベラをつかって剥離してたのが

今やきれいな画像で膜を診ながら残すもの
とるもの、危ない所、危なくない所
を拡大視しながら郭清していく時代

隔世の感があります

ここまできれいに取れるならいいねえ、、

とダビンチ師匠にもお墨付きを頂きまして

今度見学に行ってもよかでしょうか?

そこまで言われると外科医冥利につきますねえ

中下縦隔の縦隔鏡の視野はCTを下から上にずっとおいかけて
いくようなもので

それをイメージしながら手術を進めていくと
いいんだろうか

次に何が出てきて、何にケアするか

道具は何を使うか

大胆にいけるところと

繊細に行くところ

手術はメリハリだ、と昔大ボスがよく言ってたけども









by kenzaburou41 | 2018-03-16 23:19 | 手術メモ | Comments(0)

胃を全摘する

食道癌の手術中に
胃を誤って全摘してしまい
結腸再建になった、というニュース。

なしてそんなことが??

胃を細く切って、細長く伸ばして、食道の代わりに用いるのですが
この細長くなった胃を栄養する血管を切ってしまった

そうすると、胃の先端まで血が巡らず、再建臓器として役割を
なさない

ってことで「一本の血管を切ってしまった」がために
胃を使えない事態に陥った、ということで。

「誤って残すべき胃を全部とっちゃった」
という訳ではなさそう

しかし血管は切ってなくても、血管が元々が発達してなくて
胃の先端が明らかに血流が悪い、ってこともあるので
もし手術中、胃の血流の状態が悪いは結腸や小腸を代理で使います
ってことはあらかじめ患者さんには言っておいたほうがよさそう

鏡視下>胸を開けることもあります、お腹を大きく切ることもあります

胃で再建します>胃が使えないと判断したら小腸や大腸を使います

再建経路>一番適切なルートを使います。胸壁前になることもあります

などなど。

あとは、不測の自体で、右胃大網動脈を切ってしまった場合
リカバリーはどうしたらいいか。

今は結腸再建を標準的にやってて胃を残す施設も出てきているから
結腸で再建して胃は残すつう選択は?

いやいや左胃動脈周囲の郭清するし胃は残せないか。。

う〜ん、やっぱり主治医の選択した
結腸胸壁前再建が安全かしら


患者さん一人一人いろんな状況がある中で
細心の注意を払う







by kenzaburou41 | 2018-02-21 23:54 | 手術メモ | Comments(0)

反回神経部分切除

こないだの内視鏡外科学会。

106rLが左の反回神経に浸潤していてうまく外そうとしても
外れない

なんとか頑張って切ったけども剥離面に癌が残ってしまいました。

どうしましょう

ってことで一般的には「反回神経ごと切除する」だと思いますが

「拡大視して、メリーランドの先端にスピッツメスを貼り付け、鏡視下手術で
神経の外面をそぎ取ります」

なんつー症例提示が。。

ヒョエ〜

これで助かったから良かったけど、もし残ったらヒヤヒヤもの。

もちろん、完全に巻き込まれていたら合併切除だろうけども

残すか、切るか、ギリギリの選択。

そこまでやるか、食道外科医。





by kenzaburou41 | 2017-12-10 20:01 | 手術メモ | Comments(0)

胸腔鏡から腹ばい、そして縦隔鏡へ

手術の時に「合併症を起こしたものと起きなかったもの」では
長期予後が優位に異なり、合併症を起きなくする努力が
求められていて。

昨今の食道がんの手術、新しいウエーブがやってまいりました。

食道がんの手術に右胸を大きく開いて、その術者だけが
術野がよく見えて、死亡率が半端ない手術が行われた時代から

小さな傷でカメラで見ながら胆嚢を取る手術に始まり、
大腸、胃、食道、とカメラを見ながら手術する時代に
移り変わり

腹ばいの手術が視野が取りやすいからいいんじゃないの?

ていう方法が広まり

2017年、いよいよ時代は肺を潰さずに、食道とその周りの
縦隔にあるリンパ節を郭清する時代へ。

107、109を腹からの縦隔鏡でとる発想は今まであったけど、
新しいロボットを使ってやる手術で
首から気管分岐部の股までたどり着いて
ありえない角度でかん子がはいってリンパ節を郭清する様は圧巻。

ひえ〜ここまできたか、、

ってくらい未来に繋がりそうな印象

自分の命をかけるなら自費で300万円払うのも安いもの。

これが進行癌にどこまで適応できるかはわかりませんが

左横向きにしたり、腹ばいにしたり、分離肺換気で肺潰したり
っていう手間もなくなり

これはみんなに受け入れられそうな手術。








by kenzaburou41 | 2017-12-09 20:22 | 手術メモ | Comments(0)

わらじリンパ節

総肝動脈のまわりの8aリンパ節を

「わらじ」とよぶ。

食道がんの転移はまずないけど

なんだか取りたくなっちゃうリンパ節ナンバーワンですわ

ちなみに学生に外科医が「この血管なに?」

と聞く血管、人気ナンバーワンは

左胃動脈ですわ

ひ、、ひだり胃動脈です。

正解! きみ、よく勉強しているねえ、外科向きだねえ

これが外科医の誘い文句ですわ

昨今の学生はそんな褒め殺しには
見向きもしないんですわ

食道外科受難の時代ですわ

求む、食道外科医

ぽちっとな
by kenzaburou41 | 2017-12-06 17:35 | 手術メモ | Comments(0)

反回神経周囲の郭清

反回神経の周囲、食道癌手術の肝。

食道がんがもっとも転移しやすいリンパ節106番

この周囲をきっちり郭清して、取ってくるのが
術後の患者さんの予後を決めると言っても過言ではない

開胸手術
鏡視下手術

きずが小さくで開胸と同じことができるなら
もちろん、きずが小さい方がありがたい訳で。

問題はそのリンパ節郭清。

神経から離れて取れば、
神経の周りに癌と取り残すどころか
出血もしやすいから

反回神経から離れるな。

神経にダイレクトにハサミを入れて切れば良い

出血なんか大したことはない

そう教わったのですが

今のご時世。

ハーモニックで神経周囲を切り進めて

脂肪がたっぷり反回神経の周りに付いてて

はいこれで郭清しました、っていうビデオが
消化器外科学会で出てくるところがなんとも。。。

「先生はファインに操作をするというなら、なぜハサミを使わないのか?」

ごもっともな意見です。

神経周囲はハサミですよ、名医なら。




by kenzaburou41 | 2017-07-24 22:30 | 手術メモ | Comments(0)

ラパヘル

今月からヘルニアの手術に入るようになって

今日が3例目

これから高齢化社会。

食事がつかえる、でなやんでた食道癌の方が

手術で癌を克服して

治ったと思ったら、脱腸。

そういう方も増えるはず。

食道外科医は脱腸も手術しなきゃっ

ってんで、脱腸班

TAPPっていう、お腹のなかから脱腸を修復する手術。

前方アプローチから時代はラパロの時代へ

うまい先生の見学にはいり、みてみると、

ザックを剥がし、補強にいいところを露出し、メッシュをばちんとあて、
腹膜を縫う。


食道癌の手術にも通じるんですわ

鏡視下手術がうまくなるには、

まずはラパヘルからっつ。




by kenzaburou41 | 2017-04-14 23:43 | 手術メモ | Comments(0)

左開胸手術とは?

食道癌の手術で「左開胸」という術式があります。

通常は食道、というと「右開胸」が原則ですが、
この左開胸は「気管分岐部以下の食道切除と108
リンパ節より下の食道の周りのリンパ節のお掃除」
を目的とします。

よってあまり、上の方に転移する頻度がすくない
食道胃接合部の癌や、食道浸潤のある胃癌が
良い適応になります。

食道屋さんは、左開胸というと,ガッパリ大きく
胸を開いてできるだけ視野を拡げて手術をすることに
抵抗があまりないのですが

胃が専門で、あまり胸部の手術になれていない
先生は胸を大きく開けるのを躊躇するそうで
「開胸しないでお腹から縦隔の方に
掘り進めるので充分」といいます。

左開胸でやる場合は第6肋間からへそ上まで
胸の傷とお腹の傷を連続させて切開します。

胸の傷は中腋か線までがっぱり。

この時肋骨は切るのですが横隔膜は
できるだけ温存して食道裂孔からトンネル
を作って食道を牽引しながら剥離を進めます

大動脈、心嚢、横隔膜の表面を露出させつつ、
食道と横隔膜上のリンパ節を含むすべての脂肪組織を
剥離

頭側は切る部分の2−3cm上までできるだけ剥離して
おいて食道を離断します

腹部操作は胃全摘もしくは噴切に準じて
おこなってあとは再建。


「あれ?俺の傷左にあるなあ」

という方は、どちらかというと胃に近い
所に癌があった方です

この術式も最初にやった人は
すごいな、と思います。

お腹と胸をがっつり開いて
大丈夫なんだろうか

大丈夫かどうか分からない
なかで手術した外科医,麻酔科医
メディカルスタッフ、そして患者さんの勇気。

無駄にしないよう
しっかり受け継ぐんですわ

ぽちっとな
by kenzaburou41 | 2013-10-04 22:44 | 手術メモ | Comments(0)